騎士様御用心(仮)ー騎士と魔女の珍道中!ー
@anichi-impact
プロローグ
俺が目を覚ましたとき、すべてが白紙だった。
周りの景色も、俺の名前すらも、何もかもがぼんやりと霞んでいた。ただ一つだけ、妙に心に引っかかるものがあった。それは、誰かを深く愛していたという感覚。名前も顔も思い出せないが、確かにそこに何かがあった。そんな感覚だけが、俺を支えていた。
「とにかく、旅に出るしかないか…」
記憶を取り戻すため、俺は歩き出した。過去を探す、孤独な旅になるだろう――そう思っていた。だが、その考えはすぐに打ち砕かれる。
「あなたを守るために来たわ!」
そう叫びながら、まるでどこからともなく現れたのが彼女だ。銀髪をなびかせ、やたらと派手なマントを翻し、得意げに俺を見下ろすその姿。目の前には、明らかに俺の予定にはなかった「守護者」を自称する魔女、セリーナがいた。
**俺はアルト**。記憶を失い、過去の愛する人を探している騎士だ。性格は冷静で、無駄なことは嫌い。今は記憶を取り戻すことに集中している。誰かの手を借りるつもりはない。
一方で、**セリーナ**。銀髪に緑色の目を持つ派手好きな魔女。性格は明るくてしつこい。俺にベタ惚れしているらしく、あらゆる機会を使って「運命の相手だ」と言い張る。魔法の腕前は一流だが、使いどころがいつも間違っている。
「…守護者?俺は一人で十分だ」
即座に断ったのに、彼女は全く引き下がらない。むしろ、そのしつこさが鬱陶しくてたまらない。だが、彼女は意気揚々と俺の前に立ちはだかり、ついにはこう言った。
「これは運命よ!一緒に旅をするの!」
…こうして、俺の記憶を取り戻すための旅は、妙に騒がしい「守護者」と共に始まった。いや、むしろこの旅そのものが、俺にとって最大の試練かもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます