第24話 堕ちたる魔女、来日!?
「ではRUINEのアドレスを渡しておきましょう。今後も色々情報交換することがありそうだから」
「わかりましたー!」
俺と古き魔女で友達になったのだった。
同じ境遇の先輩、貴重だぞー。
「人類側の戦いは私が支援しますけれども、あなたはあなたの戦いをせねばならないでしょう。かつての正しき魔女は秘密を漏らせなかった以上、孤独な戦いだったことと思います。ですが、今は魔女であることを公表もする時代。ともに戦う仲間を見つけ、黒魔女の侵攻に抗うのです」
「はーい! 仲間……仲間ねえ……。誰かつながりのある人はいたかなあ……」
俺は考える。
配信者としてはまだ二回しか活動しておらず、あとはちょっと雑談配信したくらいの俺だ。
知り合いというものがいたかいなかったか。
「……あっ、最初のダンジョンで出会ったのがいたな……!!」
俺が思い起こすのは、とあるモヒカンの顔なのだった。
帰宅した俺。
アポカリプス世界系配信者チャラウェイに連絡を取る手段を考えるのだ。
えーと、とりあえずツブヤキックスで直リプしてみるのがいいかな……?
彼のアドレスを引用して、リプをしてみる。
しばらくして、ツブヤキックスのDMにチャラウェイが来た。
『ウェイウェイ!! もしかしてあの時の女の子!? 確認したぜ! おじさんってマ!?』
「こいつ、文字でもテンションが高えなあ!!」
『キャラが一貫してる方ですねー。治安が悪そうなのにちゃんとしてるという不思議な方ですー』
「そうだなあ。長続きしてる配信者はみんな社会性があるもんだ」
『なるほどー。確かに主様もその辺りちゃんとしてますもんねえ。個人勢の方々の配信を拝見しましたけど、割とこう、社会的にアレだったりとか多かったですし』
「ああ……。会社と関わらなくなるような自由業、配信者に憧れる者は多いが、最終的には社会性があって面白い人だけが生き残るのだ……」
『世知辛いですねえ……』
こうしてチャラウェイとアポを取れたので、まずはコラボしませんか、そのための相談をしませんかということでザッコのアドレスを交換した。
今日一日で、人間関係がぐんと広がったなあ。
「ふう……どっと疲れた」
『色々ありましたもんねー! 主様、粗茶でございます』
「あっ、フロータ、いつの間にお茶を淹れられるように……」
『レビテーションとフロートを使い分けることでお湯を沸かしたりティーバッグを使ったりも自由自在ですよ、えっへん!』
「有能な魔導書だ……」
褒め称えつつ、その日はネットサーフィンをして終えることにした。
夕食は買いだめしてあるカップラーメンでいいだろう。
四川坦々風味、美味い。
設立したファン箱はそれなりにサブスクしてくれる人が集まっている。
ありがたい。
今月は失業手当に手を付けなくても食いつなげる……!
『あっ、主様ー!!』
スマホを見ていたフロータが、いきなり甲高い叫び声をあげた。
「なんだなんだ!?」
『こいつ! こいつ見てください主様、こいつ!!』
スマホが映し出していたのは、カリスマファッションモデル、フレイヤが危険を押して来日!というニュースだった。
ははあー、すらっと背が高い美女で、ブルネットの髪がウェーブしてて大変見栄えがする。
白人は鼻が高くて彫りが深いなー!
スパイスは純和風美少女だから、のっぺりだぞ。
「フレイヤがどうしたんだ? 俺だって知ってる有名人だぞ。まあモデルやっててたまに映画とかも出てるくらいしか知らないが」
『こいつが七人のアバズレの一人です!! 炎の魔女!! こいつ、私を手に入れるために来るんですよ!』
「な、な、なんだってー!?」
俺は座ったまま飛び上がって驚いた。
こんな有名人が堕ちたる魔女!?
魔女ってのは名前を知られちゃいけないんじゃなかったのか。
いや、フレイヤは魔女としての名前を隠しているんだろう。
で、人間として表の世界で有名人になっている。
『先代様と激しく争った時に、山が焼けてしまったんですよ。なのであそこは何年も草木一本生えません』
「あれかあ。おばあちゃんの家の周りが焼け野原になってたやつ」
『それです、それ! あー、思ってたよりもゆっくり攻めてきてくれたから間に合いましたねー。今の主様なら配信してればいい勝負できますよ』
「魔女同士の戦いを公に!?」
『しちゃいましょう!! あの同接パワーがあれば経験や実力の差なんてひっくり返りますから! 相手は街一つを火の海にするような化け物ですけど!』
「ひえーっ」
今日の最後に、とんでもない情報が来たなあ!
カップラーメンの味が分からなくなってしまいそうだ。
スーパーモデル・フレイヤはクリスマスに合わせて来日。
お正月近くまでを日本で過ごすという話だった。
うえー、クリスマスにこいつと対決するのか。
もう何日も無いぞ。
俺は対策を考える。
相手の手の内が分からない。
これは大きなディスアドバンテージだ。
それに対して、敵は配信を見て俺の手の内を知っているだろう。
だが、これは俺のアドンバンテージにもなる。
俺が持つ浮遊の魔導書の力は、めちゃくちゃに応用が利く。
今までは環境を利用してやってきたが、今回は様々なモノを使って戦う事にしよう。
何を浮かせて、何を飛ばしてくるか。そこまで予測できるやつなんか預言者くらいしかいない。
俺の配信を見てイメージを固めているなら、それをひっくり返すようなやり方で勝負するまでだ。
「フロータ。フレイヤは炎の魔法オンリーなのか?」
『ええそうです! 配信もやってませんし、現代魔法をバカにしてますから。でも、すごい魔法を使うのは確かですよ! 炎対策は必須です!』
「なるほど……。難燃性の布とか用意しとこう……」
古き魔女からも連絡が来て、彼女とフロータと作戦会議などをする俺なのだった。
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