第25話ブラコンの双子

降り立った地は高い塔の上だった


「ここに結界を張ります。体調がよろしくないようならば、おっしゃってください」

フェンさんはそう言って床に手を当てると、光の柱が辺りを包んだ


「大丈夫ですか?」

「はい」


「あちらは魔法具を使って結界を強化してあります。あくまで演習ですので、大丈夫だと思われます」

「よほどのことがない限り、結界が破られることはないと自負しておりますが、何かあった際には私がお守り致します」


なんか心強い。なんだろうこの安心感

「結界って、そんなに種類があるんですか?」


「はい。いろいろございます。私の魔力は結界に特化したものですので、得意分野でございます」


フェンさんとお話することはほぼないけど、カイリ殿下と違って、いっぱい説明してくれる。流石、言葉足らずな殿下の側近を務めているだけのことはある


演習場の中心には、金髪の青年が2人立っていた。背格好もまるで一緒。


フェンさんは指で大きく丸を描くと、そこに会場の様子がアップで映し出された。左右の髪の分け目が違うくらいで、そっくりな双子の美青年が、そこに映し出される

中継モニターのように、声もバッチリ届く。魔法って便利だ



「この2人が弟くん?」

「はい。そっくりなお2人なので見分けがつかないかもしれませんが、前髪を右分けにされているのがルイ様、左分けにされているのがルカ様でございます。お2人についても、ご紹介を賜っているので、随時補足させていただきます」


めっちゃ似てる

どっちがどっちかなんて、分からない


端から結構な人数の人が集団で2人と対面した。いよいよ始まるらしい


『面倒だから全員まとめてでいいよね?』

『僕は早く兄上にお手合わせ願いたい』


『ボクもだよルカ。手っ取り早く終わらせよう』

『だな』


金髪の双子が息のあった会話をする


『では、2人ともいいか?』

横からカイリ殿下が声をかける

『結界を張ってもらっているとはいえ、大規模な魔法はなしだ』

『『はい!』』


そして、反対側の大勢の兵士たちに向かって声をかける

『皆、気を引き締めていけ、2人は強い。怪我人は出すなよ』


『それでは、はじめ!』


多勢が一斉に2人へ走り寄って来る

剣を携えた者、魔法具を持った者、各々特化した戦闘方式を用いているようだ


攻撃魔法が2人へ四方から飛んでくる


すると、虹を描くように片手を振り上げ、向かってきた魔法攻撃を消し去った


「え。すごっ……」


「あれは、ルカ様の魔法でございます。魔法を無効化する属性魔力をお持ちです。元々補助魔法系の無効化しかできなかったはずですが、小規模な攻撃魔法も中和できるようですね」


え?無敵じゃね?


すると、剣士達が次々と2人に攻撃を繰り出す。

先程魔法を無力化したルカ君は華麗な剣さばきで向かい来る騎士をなぎ払う

強い……。


隣のルイ君は、剣を緩く構えたまま立ちつくしている。すると、剣士達の動きが止まり、一人、また一人……と、声を上げて倒れて行き、程なくして立っている者は居なくなった


「どういうこと?」


「ルカ様の魔力特性は『幻術』です。おそらく、幻術をかけられた騎士たちが倒れていってるのかと」


凄い……


パンパン!っと、カイリ殿下の手拍子が響く

『これまで!強くなったな。2人とも』

そう言って殿下は2人を褒めた


『『うわぁぁいっ!!!』』

2人は殿下に飛びつくと、もっと褒めてくれと言わんばかりの様子


『兄上!!ボクとお手合わせお願いします!』

『兄上!!僕も前より強くなりました!御指南ください!』


2人はカイリ陛下にベッタリとくっついて、オネダリをしている


『ちょっ……離れろ……』

『『兄上~~お願いします!!』』


双子のブラコンパワー恐るべし


『今日はフェンが居ないので後日にしろ。魔法でやりあえば影響が出る』


『『あ~に~う~え~~』』

『フェンは何してるのさ~』………チラッ

『フェンが居ないから僕たちが兄上に構って貰えない~』………チラッ


画面越しに双子と目が合った

(えっ……?)


カイリ殿下は片手で額を覆い、ぐったりしながら

『稽古ならいつでもつけてやるから……今日は諦めろ……』


この調子で毎日来られたら、そりゃぁぐったりもする……


双子はその言葉に満足すると、幻術が解けた騎士たちが次々と起き上がり、無事、演習は終わった

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人生のやり直しを夢見た私は異世界で人生のやり直しを始めた 来実 @ku-rumi-min

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