ハロウィンの恐怖。

竹串シュリンプ

Horror of Halloween

なんで夜からにしたんだ?もっとはやく行けばよかったのに……。


―ははっ、だって…日が照ってて暑いじゃん。


お前、そんな暑がりだっけ?


―もとからだって。




*:*:*:*:*:*:*:*:*




「明日はハロウィンかぁ~…まあ別に、特に予定ないけど」


「僕も~…あっ、商店街のお祭りは?昔みんなでよく行ってたじゃん」


「えぇ、せっかくの土曜日なのに?」


「いいじゃんいいじゃん。いこーよ!僕とあきで!」



放課後の教室で話しているこいつは、はる。秋、というのは俺の名前だ。晴とは小学校のころからの親友である。

晴はお祭りに行きたいらしいが、俺らはもう中3だ。そんな年ごろじゃないだろ…。



「第一、俺らは今受験期だろ。そんな暇ないって」


俺はさっきから思っていることを言った。


「気分転換も大事じゃん!思い出作りも大事だって!!」


晴はこれでもか、という顔をしてみつめてきた。


…まあ、たしかにそうかも。


夏休みとかも何もやってないし。



「んー…じゃあ、行くかあ」


「ほんと!?やったあ!仮装しよ、仮装!集合時間とかは明日連絡するね~!」



子供みたいにはしゃぐ晴にやれやれ、と思いながら、俺らは教室を出た。




*:*:*:*:*:*:*:*:*



お祭り当日。


仮装、というものがよくわからなかったが、これなら間違いないだろということで魔法使いのコスプレをした。


といってもマントを羽織って、洒落た十字のブローチをつけただけだが…。(そしてなぜか母親に持たされた魔法の杖的なのも。)


しばらく晴との集合場所で待っていたら、すぐにきた。



「おまたせ!!待った?」


「あ、晴。全然、いまきたとこ」


「よかった!お、魔法使いか~!いいね」


「晴は吸血鬼ヴァンパイア?だっけ?」


「正解!俺にぴったりでしょ?」


「んん…なんか違和感あるな…」


「ひどっ!!そこは似合うよ、でしょ!?」


「はいはい、じゃあ行くか」



俺は晴と夜の商店街に繰り出した。


夜なのに人が結構いて、にぎやかだった。



「そーいやさ…」


俺は疑問に思っていたことを口に出した。


「なんで夜からにしたんだ?もっとはやく行けばよかったのに……。」


そう、晴は今朝、「お祭りは夜からにしよう」と連絡してきた。

なぜ夜なのか。


「ははっ、だって…日が照ってて暑いじゃん。」


晴は笑いながら答えた。


「お前、そんな暑がりだっけ?」


「もとからだって。」


そうだったかなあ。

まあいいか。



「てかさ、秋、そのブローチ何?」


晴は俺がつけてきた十字のブローチを指さして言った。


「なんかよさげだったから、つけたんだよ」


「ええ…俺、あんまり好きじゃないかも」


「いや、ひどいな」


「さっきのお返しですう」



べー、と言う晴に少々むかついたが、ダメージの方が大きかったのでブローチは外した。



しばらく歩いていると、お腹が空いてきたので、出店の方に行ってみた。


「へー、パスタなんかあるんだ!!」


晴が興奮する。


「ここ、いつも行ってるパスタ屋さんじゃん。ペペロンチーノがおいしいんだよなぁ」


「え゙、やめときなよ。ニンニク臭くなるって」


「なんか今日、お前の言葉が心に刺さるな…」



俺はペペロンチーノをあきらめて、明太子パスタを買うことにした。


「俺はフェットチーネパスタにしよ~」


「あれ、晴お前、硬いの無理じゃなかったっけ?」


「……そうだっけ?」



晴は苦笑いしながら言う。


そんな数日で好みが変わるか?と思いながらもパスタを食べ終えた。













……おかしい。


ねえ、晴、なんで……。






「さっきからこんな暗いところ歩いてるの?」







「さあ?なんでだろうね」





そう晴は不気味に笑う。









直後、首に激痛が走り、俺の意識は途切れた。






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