心配は、いつ晴れますか？

第22話 夜の静けさに救われる

夜になると、不思議と心が静かになる。昼間の喧騒が嘘のように消え、街が眠りにつくその瞬間、心の中のざわめきも少しずつ和らいでいくように感じる。周りが静まっていると、自分の内側までが静かになる気がして、どこか安心するのだ。

夜には、自分だけの時間が流れているように思える。誰もが眠り、静まり返った世界で、ただ一人、ぼんやりと月明かりを眺める。こうした夜の時間に、心の奥にある不安や悩みをそっと見つめ直すことができるのが好きだ。日中にはなかなか気づけなかった自分の感情が、夜の静けさの中で浮かび上がってくる。

一人で夜空を見上げていると、普段は大きく感じている不安も、少しずつ小さくなっていくのを感じる。星や月が、変わらずそこにあるのを見ると、「自分もこうしてありのままでいいのかもしれない」と、ふと思えるのだ。夜の静寂は、不安に対して無理に答えを出そうとするのではなく、ただそこに寄り添うようにしてくれる。

もちろん、朝になればまた日々の雑音や心配事が戻ってくるけれど、この夜の時間があるからこそ、もう少しだけ頑張ってみようと思える。夜に得られるこの小さな安らぎが、翌日に向かうためのエネルギーになる気がするのだ。

夜の静けさに救われることが、私にとっては何よりも大切なひとときだ。誰にも話せないことも、夜の空気の中でそっと自分自身と向き合うだけで、少しずつ心が軽くなる。この時間があるからこそ、不安や心配を抱えながらも、一歩ずつ前に進んでいけるのかもしれない。

今日もまた、夜の静けさに身をゆだね、心の中を見つめ直してみる。日中の忙しさに追われる自分とは違う、少し穏やかな自分に出会えることを願いながら。