心配は、いつ晴れますか?

星咲 紗和(ほしざき さわ)

第1話 心配はいつもそばにいる

朝、目が覚めると同時に、心の中に小さな不安がぽつんと浮かんでいるのを感じる。特に何かが起こったわけではない。それでも、まるで体の一部のように、不安はそこにある。どこかで「今日も1日が始まる」という期待よりも、「今日もまた、不安を抱えながら過ごさなければいけない」という気持ちが先に来る。


不安が頭の中を占めると、些細な音や、人のささやき声が耳に引っかかる。まるで自分の心に直接触れるかのように、ひとつひとつが気になってしまう。心配しすぎだとわかっていても、それを止めることができない自分に、また少し自己嫌悪を覚える。


こんな日は、できるだけ穏やかに過ごしたい。朝の支度をしながら、音楽を流してみる。軽やかなメロディーが部屋に響き渡ると、心が少しだけほぐれるような気がする。でも、それも一時的なものだというのを、もう知っている。音楽が終わると、再び不安がひっそりと戻ってくる。


「どうしてこんなに心配ばかりしてしまうんだろう?」自分に問いかけても、明確な答えは返ってこない。ただ、不安はいつもそばにいて、消えてくれない。でも、だからこそ、この不安とどう付き合うかを考え続けていくしかないのだと思う。少しずつでも、自分なりのやり方で。


心配はいつ晴れるのか、そんな日が来るのかはわからない。それでも、今日もまた、静かに前を向いてみる。たとえ小さな一歩でも、進むことができたなら、それで十分だと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る