夕凪の境
@39ad
第1話ぽつぽつ蛍光灯
ねぇ…きいてるの?
もうよるだよ
こっくりこっくりと首を振り子時計のように
睡魔はやさしくあなたを覆うから
せかいは夕闇に包まれる
「んっ!…
限界まで煮詰めた最大光量のそれが私の目に放射状に降り注いだ
焼き払われた瞼の感触や焦げつくたんぱく質の匂いが充満した治療室でわたしは一生を終える
欠落した想像性欠陥品のからだ
不良品それも遺伝子に問題あり
泣き叫ぶ気力も失っていた
最初は「痛いっ!」とか人っぽいことも言ってたな
当たり前に思考をくぐらせる現状に疑問を抱いていた
でもよくわからないの
馬鹿だから仕方ないわ
無人の治療室さんざめくレーザー
褐色色をした重機械は錆びついたままだ
止まったままなのに なんで動くんだろう
「あっ…お客さんがいた」
少し前に会ったばかりなのに もう忘れていた
(全くこのお寝坊さんめっ
ぼくはずっとここにいるのに)
可愛らしい声が耳元でエコーする
どんな容貌だったかしら 忘れてしまったわ
でも、わたしは馬鹿だから仕方ないわよね
(もう…!さっさとこっから出せよバカ女が)
途端に視界がぐらついた
歪められた鉄の狭間に
せかいをみた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます