見ねば恋しき 〜若大根売は待つ〜
加須 千花
第一話 若大根売、てんやわんや。
います
何の
※
万葉集 作者不詳。ただし、
* * *
奈良時代。
「必ず、迎えに来るから。オレの
立身出世のために、遣唐使となりたいのだと言う……。
旅立つ前。
そして授かったのが、娘である
だんだん大きくなるお腹が嬉しくて。
出産は、命懸け。不安もあった。
でも、産まれたあとに、不安はなかった。
敬愛する佐久良売さまのお世話をするのが、
さらには、佐久良売さまの妊娠もわかり、
すごく嬉しい!
日々、成長してゆく
(ふふ……、目は
と嬉しく、
(……源に、抱っこしてほしかった。
源……。)
と、ふいに泣いてしまうのだった。
源は、まだ帰ってこない。
本当に、遣唐使となって、この秋津島を離れたのだと、
(源……。どうか無事に。一日でも早く、あたしと
* * *
───ここには、六人の
主の子やら、主に仕える人たちの子やら、とにかく一同に預かって面倒を見ているのだ。
「そっちのほうが、
とは、佐久良売さまの
おかげで、
それはありがたいのだが……。
今、
小鳥売はちょっと席を外している。
───つまり、いつもは
年長の
「
「えっ!」
と
「
「母刀自、
「あぅむ……。」
「
人麻呂は勢いあまって、柱に顔をぶつけた。
「ぎゃうっ! 痛いよぉ。ふええええん!」
泣き出した。
「あわわ、人麻呂……。」
「あぎゃ───ん!」
「ふんっ、弟があたくしに勝とうなんて、百年早いのよ!」
(あぎゃっふえぇあばばばばば………!)
あまりに同時多発の案件。
白目をむき口から魂がでかけた
(どこから手をつける? とにかく、喧嘩を止めさせねば!)
「けっ、喧嘩はなりませぬ───!」
だっ、と走って庭先におりた。そこに……。
「おや、喧嘩はダメじゃないか。」
ひょっこり表れたのは、佐久良売さまの
筋肉ムキムキの怪力
「めっ、だぞぉ?」
「だってお父さま!」
「聞いてよお父さま!」
(ふぅ。ありがたい。
そこに……。
「さあ、楽しい楽しい、文字の勉強の時間だぞーぉ?
おや?
「お父さま。ぐすっ。」
とことこ歩いて表れたのは、人麻呂の父であり、
(わーん、お兄さま、良い時に!)
そこに……。
「
「
ふっくら丸顔の小鳥売は、
(はぁ、良かった。)
「よしよし、血はでてないぞ。
「
地面におろされた
「
ふん、と得意げに鼻を鳴らす。
(なんでそんなに、喧嘩が強いのかな?)
真比登さまが
「文字の勉強の時間でした? 武芸の稽古をつけてやろうかと……。」
「武芸の稽古が良い! 真比登さま、強くてかっこいいから!」
と笑顔で言い、
「
とにこにこ笑う。真比登さまが、二人の肩をぽん、と叩いて、
「三根人さまは貴重な時間をさいて、勉強を教えに来てくださったんだ。皆で文字を教えてもらいなさい。」
と優しく
「はぁい。」
「やった!」
三根人兄さまについて、部屋を移動する
「真比登さま。」
「ん? なんだい、
「あたしのお父さまだったら……。文字の勉強、武芸の稽古、どっちが好きって言ったかな?」
(あっ……。)
真比登さまは優しい笑顔で、
↓挿絵です。
https://kakuyomu.jp/users/moonpost18/news/16818093088369917800
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます