第20話 お試しパーティー結成

「わたし、カイニスとロキと一緒にパーティーを組む」


 アニスがシエルに向かって宣言した。その言葉によって、個人面談室の空気は最悪になった。


「はぁ? こんな奴らと?」


 シエルの態度は依然険しいままだ。いまだ、シエルの曲げたへそが治る気配はなかった。


「そんなにアニスが気になるなら、あんたもあたしたちのパーティーに来れば?」


 そんなシエルの様子を見て、カイニスはシエルに対してあっけからんとした様子で言った。なんなら、その癖がかった茶髪を指先でもてあそんでいる。


「っ! 何を言ってるんだ。俺はもう、ダンジョンには潜らない」

ってことは、シエル、あなたやっぱりダンジョンに潜ったことがあるのね」


 シエルの返答に対して、にやり、と意地悪く笑うカイニス。その笑い方は、童話に出てくる悪い魔法使いのようだった。


「うるさい。お前には関係ないだろ」

「関係ないのはシエル、あなたでしょ。アニスの決定に口出ししないで、この子はあたしたちのパーティーに入るんだから」


 ねー、とアニスに向かって同意を取るように笑いかけるカイニス。それにうなずくアニス。

 その様子にシエルの顔はどんどん険しくなっていく。


「カイニス、煽るのもそのくらいに」


 そんな空気の中、ロキが止めに入ろうとしたその時。


「ハッ! いいさ、パーティーに加わってやる。その代わり、役立たずの地図書きマッパーでも、文句は無いな?」


 売り言葉に買い言葉とでもいうのか、シエルは今までの信条を翻したように、そう宣言した。


「ふん、上等よ。地図書きマッパー? アンタこそ私たちを迷わせたら許さないんだから」

「シエル、また一緒に潜ってくれるの?」


 高圧的なカイニス。嬉しそうなアニス。対照的な女性二人。


「ふむ。拙僧らのパーティーは『天上てんじょう銀梯子ぎんはしご』と名乗っている。これから、よろしく頼むぞ」


 ロキがパーティー名を口にする。シエルはその言葉にうなずいた。

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