2件目 お姉さんの本当の姿

「買い物が多くてごめんなさいねー」

「いえ!これが俺の仕事なので!」


 少し大きめなダンボールを、指定された場所に置いて汗を拭う。

 例のお姉さんの部屋へ配達に来た。


「——物が少ない部屋ですね」

「最近引っ越してきたばかりなの。だから、しばらくの間お世話になっちゃうかも……」

「どんな重たい家具でもお任せください!」

「うふふ、どうもありがとう」


 そう言って彼女は、グラスに注いだ冷たい麦茶を渡してくれた。

 これってある意味お部屋デートなのでは!?そんなおかしなことを考えていると、お姉さんが顔を赤くしながら俺の袖を掴んだ。


「昨日のこと、覚えてるかしら……?」

「あっ、はい、まぁ……」

「本当に引いてない……?」

「ぜ、ぜんっぜん、そんなことないですよ!」


 俺の顔を覗こうと少しずつ身を寄せてくるのはいいけど、胸が当たってる!!ものすごく柔らかくて吸い込まれるみたいだ!


「気持ち悪いとか思わなかった?」

「はい!思ってません!だからその、そんなにも近づかれると!——あっ!」


 りきみすぎたせいか、手に持っていたコップが滑り、お姉さんに麦茶がかかってしまった。


「ひゃっ」

「ご、ごめんなさい!」

「ううん、私の不注意だから。気にしないで」


 気にしちゃいますよ!だって透けてますもの!というかノーブラだったのか!?

 彼女の胸の谷間を滑り落ちる水滴にゴクリと喉を鳴らす。

 肌に張り付いたシャツがその内側を透かすが、俺はついついその光景に目を奪われてしまう。


「そんなにも見つめたらダメだぞ、少年」

「い、いや!見てません……」

「まぁ、あなただったら少しくらいいいのよ。でも、ずっとこのままっていうわけにはいかないから、着替えさせてもらうわね。少し待っててくれる?あなたに見てほしいものがあるの」

「わっ、分かりました!」


 お姉さんは別室に着替えに行き、残された俺はただ一人、茫然と立ち尽くした。

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