配達屋!〜届け先のお姉さんがとにかくやばい!〜

TMK.

1件目 お姉さんでも興味はあるだろう

 ガタン、ガタンと音を立てながら不規則に揺れる車内。背には大量の荷物。お気に入りの曲を聴きながら目的地へ向かう。

 初めての一人での勤務で少し緊張はしているが、それとは裏腹にワクワクもしている。

 だって!インターホンを押して、玄関から出てくる生活感溢れるお姉さんの姿を想像したら…!


「——なんて、あるわけないよな」


 そう自分に言い聞かせ、トラックを止めて荷物を取り出した。


「二○一号室…二階かぁ…」


 アパートの前に立ち、見上げる。

 肌を焼くような強い日差しを浴びながら、慣れない廊下を歩き、部屋の前まで行き、インターホンを鳴らす。


「すいません、シロイヌ宅急便です。お荷物のお届けにやって来ましたー」

「はーい。あら?いつもと違う担当さんなのね」


 扉を開けて出てきたのは巨乳のお姉さん!

肌着一枚とショートパンツ姿って、かなり危険ですよそれ!

 白く透明感のある肌を引き立てるような、艶のあるセミロングの黒髪、そして目元と口元のほくろがまた色っぽい……!

 そうやって勝手にどぎまぎしていると、お姉さんが続ける。


「これからはあなたが運んでくれるの?」

「はい。前の担当は定年で退職したので」

「そう、良かった。あの人、私のことをいやらしい目で見てくるから、少し嫌だったのよね……」


 すみません、俺も同じ目で見てしまいそうです!


「——本当、えっちな人って嫌よねぇ」


 言葉が胸に突き刺さる。


「あ、あの……お荷物にサインしていただいてもよろしいでしょうか?」

「そうね。ついお話しすぎちゃった。えっと、どこにすればいいのかしら」

「えーっと……」


 伝票の上を指を滑らせて、署名欄を探そうとすると、見てはいけないものが目に入ってしまった。


「あっ……!」


 商品名、アダルトグッズ。俺の指先はそこを指していた。お姉さんは顔を伏せ、耳を赤くして震えている。


「こ、ここにサインすればいいのね……」


 震える手を伸ばして署名し、俺に見せてくれる。


「あ、はい!じゃあ失礼します!……人の趣味はそれぞれで良いと思いますよ!俺もよく使ってます!」


 そう言い残してその場を去った。

しかし、これでフォローできたのだろうか…。

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