第2話

 羽佐間ハザマ市は、絶え間なく瞬くネオンと、冷たい鉄骨が空を覆い尽くす荒廃した閉鎖都市区画だ。都市の中心部にはメガコーポの無機質な超高層ビルが聳え立ち、地面に暗い影を落とす。だが、その影を縫うようにして、古びたマーケットやスラム街が網目のように広がっている。


 ビル群の暗がりの中、無数のAR広告が空中に浮かび、人々の視界に嫌でも入り込んでくる。強烈な色彩とノイズに満ちたその映像は、華やかでありながらも無情で、人々の欲望を搾取するように冷たく光っていた。


 羽佐間ハザマ市の上空には、メガコーポが配備した監視ドローンが飛び交い、市民のあらゆる動きを監視している。闇夜に響くその羽音は、人々にとって逃れられない支配の象徴だ。しかし、一部の者はそんな秩序に反発し、裏路地の闇市や電脳ネットワークの中で自由を求めている。

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