last band~君が奏でる音楽~

ネコを愛する中学生(略してネコ愛)

第1話 始まりの音

「一緒に軽音部やらない?」


 透き通った美しい声が、放課後の教室に響き渡る。

 突然の声に振り返ると、そこにはクラスメイトの鈴木奏すずきかなでさんの姿があった。

 クラスでも人気のある彼女は、夕日に照らされていつも以上に光り輝いていた。


「えっ? ぼ、僕、ですか?」


 思わず声を上げてしまった。

 心臓がドキドキして、彼女の目を真っ直ぐに見ることができない。

 普段は目立たないような僕にとって、鈴木さんに話しかけてもらえることは夢のようだった。


「君のギターには人を惹きつける力がある。だから、私とバンドを組んでほしいの」


 彼女の言葉に答えることができなかった。

 本当は、軽音部にだって入りたい。

 けど、僕なんかじゃ……。


「ぼ、僕なんかじゃ役に立たないよ……」


 その言葉を聞いた鈴木さんは、少し不満そうに首を傾げた。


「自分を過小評価しすぎだよ。それに、私たちで一緒に頑張っていけばいいじゃん」


 その自信に満ちた目に押され、思わず言葉を失った。

 軽音部という新しい世界に踏み出すチャンスが目の前にある。

 いつもなら勇気がなく断っていただろう。

 けれど、今なら、できる気がする。


「……や、やってみるよ」


 言葉が口から出た瞬間、心の中で小さな希望が芽生えた気がした。

 彼女が僕を見てくれるなんて、これまでの練習が少しだけ報われる気がしたから。


「やった! それじゃあ、まずは部室に行こう!」


 鈴木さんは明るく笑い、僕の手を引いて教室を出た。

 緊張と期待が交錯する中、少しずつ心が高鳴るのを感じた。

                                   つづく


~あとがき~

 最近始めたギターに影響されて書き始めました。

 小説も最近書けていないので、下手ですが、よかったらアドバイスなどもらえると嬉しいです。

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