婚約者に浮気をされていたと知ったので、復讐を始めようと思います。

第1話

　「フローレン様、非常に申し上げにくいのですが...ご両親が、逝去されました」

　　全身の血の気がさあっとひいたのがわかった。

　「今、なんて？お父様と、お母様が？ありえないわ、この前会った時は、元気だったじゃない」

　「はい。お二人は、不運にも事故に遭われたそうで」

　「そんな...」

　そこそこに大きな権力をもった家に生まれたフローレン。15歳になった頃、縁談話が持ち込まれる。相手は自分と同い年の、ルイ。

　フローレンの実家、ベルナール家には、フローレン以外の子供に恵まれなかったため、後継を探していたところ、ルイの実家マルタン家がゴリ押ししてきたのだ。

　凄まじいほどに親バカだったフローレンの両親は、最初こそ警戒したものの、次第にマルタン家と打ち解けていった。

　フローレンが18歳になり、もうすぐ結婚だ、となった頃、それは起きた。

　フローレンの両親の、事故死。

　話を聞いたフローレンが、会う約束もしていなかったがルイに伝えに行くと、そこには見たこともない女性と幸せそうにキスをしているルイの姿があった。

　相手の女性は、金髪で、きらきらと華やかなドレスを身にまとい、まるでお人形のような外見をしている。黒髪で、清楚なさっぱりとした姿のフローレンとは真反対の女性だ。

　フローレンは、絶望した。