自殺したはずの幼馴染が幽霊になった。
越山明佳
第1話
「
学校の屋上から飛び降りて。
陰湿ないじめが原因だ。
俺は救えなかった。
はずなのだが――
「どっか行ってよ!」
「無茶言うな!」
なぜか俺の部屋にいる。
「
「出られないのよ」
開け放たれた部屋の窓から出ようとするも見えない壁があり出られない。
宙に浮いてることや母親には見えなかったことから俺は霊だと思ってる。
着替えようとするも、
他の場所でなんて無理だ。
隣の部屋にはひとつ年下の妹――
最中に見られでもしたら不審がられるし恥ずかしい。
居間でなんてもっと無理だ。
どこで着替えればいいんだ?
「時間がないんだ。着替えるぞ」
「イヤだ!」
バンッ!
霊ゆえの御業か、俺は廊下に吹っ飛ばされ、壁に全身をぶつけた。
「なに今の音?」
ワイシャツにパンツ一丁というまさに着替え途中な恰好で廊下に投げ出された俺。
その様を見た
結局、恥ずかしい思いをさせられた。
着ようとしていた服も一緒に投げ出されていたため、しぶしぶ廊下で着替えた。
「クァー」
通学路を歩いている最中、堪らず声をだす。
いつまでこんな生活が続くんだか。
だからといって恋人程の仲ではない。
一緒の部屋で過ごすのは難しい。
そもそもなんで俺の部屋から出られないんだ?
教室に入ると花束が置かれた机が目に入る。
教室内の雰囲気は暗く、まさに通夜ムード。
教師が来た。20代後半のまだ若い教師。副担任だ。
明るく振舞おうと無理しているのがよくわかる。
無理もない。いじめが原因で生徒が自殺したのだから。
教師も生徒も反省ムード。
いつまで続くのだろうか。
ガラッ!
ドアが開き、女生徒が入ってくる。
遅刻者か?
そう思いつつ眺めるも見覚えがない人物だった。
そもそも遅刻にしては堂々としている。
「転校生を紹介します」
「
きれいなお辞儀をしてから教師の合図を待たず優雅に歩を進める。
花束が置かれた
「遅かったか」
表情一つ変えず、
「あの
「気にするな」
全員が
「続けたまえ」
なにを言っても無駄だと悟った教師は朝のホームルームの終わりを告げる。
教師も疲れているのだろう。
本来なら転校生を囲って質問攻めにするところだろうが、いかんせん
教師、生徒問わず、
亡くなった
そう思うのも無理はない。
授業が始まっても教科書やノートを広げず、ただ正面を向いている。
休み時間になっても席を立たず、じっと座っている。
不気味すぎる。本当に霊だと思えてくる。
「待ちたまえ。君に話がある」
授業を終え、帰る段となったタイミングで
そそくさと逃げるように教室内から人がいなくなる。
用があるのは俺ではないと思いたかったが、ガッツリと目が合ってしまい、しかも他に人がいなくなってしまった。
「なんだよ」
恐る恐る応える。
俺の体の匂いをかぎ、なにを思ったか、こう言う。
「まずは君の家に行こうか」
「は? なんで……?」
「ここでは話せないだろ?」
「なにを言って――」
「
「はっ⁉ なに言ってるんだよ。死んだんだよ、
「やはりな。
今日一日、誰とも話さず、微動だにしなったやつとは思えない。
怖い。動いてくれない方がよかった。
絶対に俺の家に行くという強い意志を感じられる。
「お前を俺の家に来させるわけにはいかない」
「なぜだ。困っているのだろ?」
「困ってなんかない」
俺は駆け出し、
なんかわからんが、あいつはやばい。
絶対に俺の家に来させるものか。
「おかえり」
「……た、ただいま。ぜぇ、ぜぇ」
後をつけられていないか、後ろを確認しながら全速力で走って帰ってきた。
「なんでそんなに汗だくなの? 息まで切らして」
「それは……⁉」
「やはりここにいたか」
振り切ったと思ったのに。
「なんでいるんだよ!」
どうやったのか、鍵を掛けてたはずの窓を開け、中に入ってきた。
窓の
「困っているのだろう?」
片手を伸ばし、続けて言う。
「助けてやろう」
「なにを偉そうに……そもそもお前はなんなんだ」
「お前たちを救いに来た。ただそれだけだ」
「ねぇ、
「今日来た転校生だ」
「転校生? 確かに私たちの高校の制服、着てるけど……」
「どうやら信じてもらえていないようだな」
「あたりまえだ!」
「ではこうしよう。
「出たい! 出られるの?」
「ああ」
「信じちゃダメだ!」
「なぜだ? 困っているのだろ?」
確かに
だが、得体の知らないやつの力を借りるのは危険だ。
「
「なに言って……」
「私、このままは嫌だもん」
確かになにもしなければこのまま変わらないかもしれない。
「どうすればいい。
「簡単さ」
瞬間、突風に押され廊下の壁に背中をぶつける。
皮肉にも今朝と同じ。
違いがあるとすれば
彼女を後ろから抱く体勢になる。
「やった。外に出られた。……だけど、どうして?」
「簡単なことだ。
「な⁉」
「ちなみに外で離れれば
「え⁉」
「せいぜい触れ合いを楽しむんだな」
役目を終えたとばかりに窓から去っていく。
これからずっと彼女の体に触れていないといけないのか?
「そうだ。言い忘れていた。あと2週間だ。その間に
やり残したことってなんだよ。
確かになにかしらの未練があるからここにいるんだろうけど。
「本当に行くのか?」
「行く。どうせみんなには見えないし」
翌日、
止めておけばいいものを。
学校に到着。変わらず通夜の雰囲気。
「私、本当に死んでるんだ」
自身の机の上の花束を見つめ呟いた。
自覚なかったのか。
天に昇るかと思ったら、この世に残っているのだからそりゃそうか。
死んだことないからわからんけど。
どんな気持ちなんだ?
「
謝ってきたのは
彼女のことが忘れられないとでも思われているのだろうか。
ここぞとばかりに
「……なんで? 今更……」
俺以外、
信じてもらえるかは別にして彼女がここにいることを伝え、実況することは簡単だ。
だが……
「今更なに言ってるんだよ!
実況したところで思いは伝わらないだろう。
「なにしたのかわかってるのか⁉ 死んだほうがましだと思える程に、本当に死ぬまで追い詰めたんだ!」
声を荒げ
「ごめん」
謝ることしかできない
そう思うと俺も共犯者な気がしてやるせなかった。
見ると首を大きく振る。
それを見て冷静になり、胸倉を離した。
居づらさを感じ、教室を後にする。
「話せばわかりあえたのかな?」
屋上への扉の手前にある階段を椅子代わりにして座っている。
不気味なほど静かだ。
「どうだろうな」
「なんで私、死んだんだろ」
昔、テレビで自殺した人はみな後悔している。
そう霊が見える系の人が話していたのを思い出した。
自殺を抑制するためにそう話したとばかり思っていたが、まさか目の前で後悔しているさまを見ることになるとは。
「ごめん」
「なんで
「
「止めてよ。
陰鬱な雰囲気が流れてしまう。
なんとかその雰囲気を振り払おうと声をあげる。
「止めだ。止め。せっかくだからなんか楽しいことしようぜ!」
「楽しいことって?」
「そうだな……」
肝心の彼女は完全に受け身モードで、自分からなにかしたいと言う気配を感じない。
「……ゆ、遊園地にでも行くか」
「こういうところってあんまり来たことないんだよね」
到着そうそうハイテンションな
舞い踊り制服のスカートを翻している。
手を繋いでいるから一緒に踊ってるかのようになってしまう。
人や物にぶつかるのではと考えるも
周りを気にせずにはしゃげるのは素直にうらやましい。入場料だって取られないし。
「どれからいく?」
「とりあえず一通り見て回りたいかな」
「
「私がしたいことをさせてくれるんでしょ?」
ここぞとばかりにわがままを言ってくる。
「そうだったな。とことん付き合うぞ」
「⁉ つ、つ、つ、付き合う⁉」
「ああ、回るんだろ? 園内を」
「え……ええ、そうね」
「大丈夫か?」
「大丈夫。行きましょ」
遊園地で散歩するという贅沢を堪能することにした。
乗り物に乗ってこそだと思っていたが、園内を散策するだけでも楽しめる。
「生きてる時だったら、手作りのお弁当、一緒に食べれたのかな?」
「ん? なにか言ったか?」
「
「そうだな……
「私はほら、幽霊だから……」
「あ、そうか……ごめん」
「ううん。気にしないで。あ、でも試しに食べてみようか」
「そうだな。もし食べれたら周りからしたら
「冗談抜きでね」
互いに笑い合う。
どんな状況だろうと楽しんだ者勝ちだ。
試しにソフトクリームを購入。
彼女が食べれなかった時のことを考え、1つだけ。
結論から言うと、食べれた。
どうやら俺に触れていれば人や物に触れることができるらしい。
さっき人にぶつかり、困惑する姿を
心霊現象は身近にあるのかもしれない。
家に帰ると学校をサボったことが親にバレていた。
「あんまり言いたくはないけど、ちゃんと将来のこと考えなさいよ」
将来?
自殺でもしてしまえば将来もなにもないのに……。
親もそれをわかってか、しつこく言ってはこなかった。
翌日、当然のように学校をサボり、
親に言われたことを一応は気にしつつ、でも
「いいの?」
「いいよ。
2週間以内に
消滅というのは肉体だけでなく魂も、という意味だろう。
違いがよくはわからないけど、今からでも彼女のためになにかできるのならしたい。
今日はウィンドウショッピングをしに駅前に来た。
なにか欲しいものがあるわけではなく、ただ見て回る。
昨日に引き続き、たくさん歩くことになりそうだ。
服やアクセサリー、雑貨など手当たり次第、見て回る。
いつもなら、目的のお店で、目的の物を買うから、今回のように目的なく散策するのは新鮮だ。
「あそこ行ってみたい」
そう言って
模擬で結婚式を体験できるらしい。
「え、いや……さすがにそこは……」
「ええ、いいじゃん、別に。行こうよ」
「俺たちはそういう関係じゃないし」
間違ったことは言ってないはずなのに
「あ〜あ。私のために! 学校をサボって! 将来を捨てて! そこまでしてくれた王子様はどこに行ったのかな? 私のために! ブライダルフェアに行ってくれるヒーローはどこに行ったのかな?」
「わかったよ、行くよ」
「やった」
そんなにしたいことなのかね。
「すみません。ブライダルフェアをやってるという看板を見たのですが……」
「はい。えっと……ご予約ですか?」
「いえ、できれば今からでも……」
「そうですか。あとから他の方がいらっしゃるのでしょうか?」
「いえ、来ません」
「申し訳ございませんが、おひとり様でのご利用はできません」
「いえ、ひとりではなくて、ふたり……」
ここで、はたと気づく。
店員には
楽しみ過ぎて、うっかりしていた。彼女は幽霊なんだ。
店員からしたらひとりでブライダルフェアを申込に来た変人。
「すみません。なんでもありません」
そう言って去ることしかできなかった。
「なんかごめんね」
「
公園のベンチでなぜか反省ムード。
今のこの状況でも、生きてる時と変わらず楽しめるものだと勝手に思っていた。
だけど生きていないとできないことは確かにあるのだ。
「なんか一気に現実に引き戻された気がする」
意気消沈。
せっかく楽しんでくれてたのに。
「いや、まだ諦めるには早い」
「どうする気?」
「ようは生きてる女がいればいいんだよ」
「すごい言い方」
「うるせぇ」
「あてはあるの? 生きてるだけじゃなくて一緒にブライダルフェアに行ってくれる人だよ?」
「ないこともない」
「一生のお願いだ! 頼む!」
「意味わかんない! なんで実の兄と一緒にブライダルフェアに行かないといけないの!? なに言ってるか自分でわかってる? 結婚式だよ! 結・婚・式! 模擬とはいえおかしいでしょ!? そもそもなんで私なの⁉」
「生きてる女だから」
「もっとわからなくなった!」
ひとつ年下の妹――
一生のお願いなんて初めて言ったわ。
「自分でも変なことを言ってるのはわかってる」
「なら言うなし」
「でも、
「……
「ああ、そうだ」
「もしかして最近、お兄ちゃんの様子がおかしいことに関係してる?」
「おかしなところなんてあったか?」
「廊下でワイシャツにパンツ一丁で背中に壁を打ちつけたり」
「それは忘れて」
「学校サボって遊び歩いてたり」
「それは別におかしくはないだろ。そういう時もある」
「誰かと手を繋いでるかのように横に手が伸びてたり。今だってほら、土下座してるのに片手だけが不自然に高いし……もしかして、そこにいるの?」
見えてないはずだが、俺の手の位置を頼りに触れようとする。
「いる? 本当に、いるっ⁉」
「ああ」
初めて
不思議と嬉しさが込み上げてくる。
無意識のうちに勝手な妄想で作り出した可能性も考えていたのかもしれない。
見えないのに触れられる。
そんな不思議体験を
「いやだ。
ひとしきり全身を触れ終えてから抱き着く。
その思いに応えるように
「本当にここにいるんだ」
小学生の時は3人でよく遊んだものだ。
高校生である今となっては懐かしい思い出。
そんな関係にある人物が自ら命を絶ったのだ。
思うところがあるのだろう。
「いいよ。ブライダルフェアに行っても」
「本当か?」
「うん。だって
「ああ、そうだ」
「私とお兄ちゃんが挙式を上げるのが」
「そ……んなわけあるか!」
「え⁉ 違うの⁉」
「誰がそんなこと――」
「お兄ちゃんでしょ!」
「俺か⁉ 俺だ!」
「あんな言い方されたら誰だって勘違いするって」
「だな! 俺と
「でしょ」
言葉足らずの食い違いがあったようだ。
3人で笑いあう。笑い話で済んでよかった。
「でもどうするの? お店の人からしたらどう見ても、私とお兄ちゃんでブライダルフェアにでたいみたいじゃん」
「そこはノリで」
「要は無計画ってことじゃん。まぁいいけど」
なにはともあれ、これで受付してもらえる。
そのあとはどうなるかわからないけど、まぁなんとかなるだろう。
「それでは衣装に着替えていただきますので、花嫁さんはこちらへ。婿さんはあちらへ」
「「着替えは一緒の部屋でお願いします!」」
「え? いや……しかし……」
「「でないと意味がないので!」」
「はあ……」
まさかここで断れるとは思わなかっただろう。
大変困惑している。
「「片時も離れたくないんです!」」
「気持ちはわからなくもないのですが……ちょっと確認させてください」
変なことを言ってる自覚はある。
だが、これは俺と
表向きは俺と
「確認とれました。一緒のお部屋で大丈夫です」
部屋へと案内され、着替えを開始する。
店員が
いったい、どう思われているのか不思議でならないが、そうせざるを得ない。
着方がわからない段になったらを店員を呼び、やってもらった。
そうやって着替え終えた途端に。
「消えた⁉ え? えええええ~~~~~~?????」
ウエディングドレスが見えなくなったらしい。
卒倒するではと思える程の絶叫をあげる店員。
ブライダルフェア用とはいえ、お店のウエディングドレス。それが消えたとなれば大問題なのだろう。
目の前で消えたことが信じられない店員は周囲を見回し、実は手品で別の場所に移ったとでも思ったのか、あらゆる場所を捜索しだした。
「あとで返します」
「え? あ、はい……?」
「では俺も着替えたいので、お願いしてもいいですか?」
「あ……はい……も?」
店員はウエディングドレスの行方が気がかりで心ここにあらずという感じだ。
なんだか申し訳なくなってくる。
それでもプロ。ちゃんと意識を保ち、着替えるのを手伝ってくれた。
式場に移り、挙式の真似事を始める。
ゲスト席から動こうとしない妹の
それを見た店員が壇上にいる俺のところに移動させようとする。
「始めてもよろしいでしょうか?」
「はい」
神父に問われ答えた。
俺と
彼女のためにと思い、慌ただしく強引に行動してここまで来た。
今はもう落ち着いていて、やっと
「似合ってる。かわいいよ」
「新郎
あなたは新婦
これを愛し、これを助け、これを慰め、これを敬い、その命のある限り心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
「新婦
あなたは新婦
これを愛し、これを助け、これを慰め、これを敬い、その命のある限り心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
「それでは誓いのキスを」
そうか。結婚式だからするのか。
まぁ、どうせ模擬であり、彼女の姿は誰にも見えないのだから本当にしなくてもいいだろう。
そう考えていると
「私の命……もうない」
そこで端と気づく。
聞き流していた誓いの言葉。
『その命のある限り心を尽くす』
だが、それは俺らにはあてはならない。
「誓えないよ」
悲しそうな顔で涙を流す
俺はキスの代わりに強く抱きしめた。
俺らに誓いのキスをする理由がない。
そろそろ宣告された2週間が経つ。
あれ以降、楽しむ気にはなれず、俺は普段通りの生活を送っていた。
学校はサボらず行き、家に帰れば
楽しく過ごそうとしていたはずなのに、気づけば時間をただ浪費するだけになっていた。
「そろそろじゃないか?」
「うん。そうだね」
「やり残したことはないか?」
こんなことを聞いても無駄だとわかってる。
苦しめるだけだってわかってる。
やり残したことをしようと思い、行動した結果、死んだ事実を突きつけられ苦しめられるに終わったのだから。
「消えたくない」
か細い声だ。
「どうして自殺なんかしちゃったのかな?」
後悔先に立たず。
やらずに後悔よりやって後悔。
無意味にそんな言葉が頭をよぎる。
なにか言わないと、そう思うも掛ける言葉が浮かばない。
「死に方はわかっても、生き返り方はわからないよ。死んだら解放されると思ったのに……人間、生きてても、死んでいても、そんなに変わらないんだね」
生きてる時は死にたいと思い、死んでる時は生きたいと思う。
ないものねだり。
人はなんてわがままな生き物なんだ。
「
だからか、俺の部屋の地縛霊になったのは。
だが、それは生きていないと叶わないこと。
2週間という期間ではあまりにも短すぎる。
どうすればいいんだ?
「やっと気づいたようだな」
「
そろそろだと思っていたため別に驚きはしない。
「なにを言っている?」
「なにって……もう
「そういえばそうだな」
とぼけた風に言う。
「もうやり残したことはない。少なくとも今のままでは……だろ?
「うん……そうだね」
「確かにそのようだね。
「そう。理解した。……理解? そうか死んだ事実をか……」
「いいや違う」
「? なにが違うんだ?」
「理解したのは、死んでもなにも変わらないということだ」
「死んでも、また生きたいと思うだけ。人はみな、一緒にいたい人がいるから生まれ、生きる。それを自覚したのなら、もう大丈夫だろ」
「言っただろ?
そういえば確かにそんなことを言っていた。
「新たな生命が生まれる時。こと人においては男女が愛し合う時だ」
なにを言いたいのか、俺にはわからない。
わからないのに、急かしてくる。
「なにをぼさっとしている。やることはひとつしかないだろ」
「やることって?」
「
「なぁ、
キスされた。
ブライダルフェアでは嫌がっていたキスだ。
「生きてても、死んでても、変わらない」
驚き
「やりたいことは今、しなくちゃ」
抱き合い、もう味わうことはないかもしれないという心境で、濃厚で熱烈なキスを交わした。
「「ごめんなさい!」」
学校に到着すると、
「なにが?」
俺は
「なにがかはわからないけど、謝らないといけない気がして」
「なんだそれ」
理解が追いつかないうちに、
なにかあった気がするが思い出せない。
「
「おう」
「今日、時間ある? 話があるの」
「ああ、ちょうど俺も
「じゃあ、放課後」
ただこれだけは言える。
自殺したはずの幼馴染が幽霊になった。 越山明佳 @koshiyama
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