嘘か真か

人間は言語を持ってしまったがばかりに、ずる賢くなってしまった。


行動だけで語れていた原始時代には、真っ直ぐな姿しかなかっただろう。


脳が口と直結してからというものの、人々は平気で周囲を騙すようになってしまった。


「まさかあの人が」


「こんなことする人じゃなかったのに」


そう口にする人は、本当に思っているのだろうか。本当にその人のことを見られているのだろうか。


口から発せられる嘘を鵜呑みにし、嘘の海に溺れてしまっているだけではないだろうか。


何を隠そうこの私は、嘘の海に溺れ、真実を見失ってしまった。人は嘘つき。平気で嘘を吐く。


嘘か真か。

その真実を知るには、聴覚を閉ざし視覚のみに頼ることだ。


目で見たものだけを並べれば、あの人は確かに最低な人だった。

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