結局人間なんてさ

なぎ

言葉

いつも見ているのは、その口から発せられる言葉だけではない。

いつも見ているのは、その言葉を発する時の目、口元、手、指先、体の向き。


誰かが言っていた言葉を思い出す。

目は口ほどに物を言う


思っていることをそのまま言葉にできる人はどれほどの数だけいるのだろうか。私はずっと、人が発する言葉はすべて真実なのだと思っていた。


学生時代の先生の褒め言葉も、教訓として覚えておきなさいと伝えられた言葉もすべて、それが真実なのだと信じて疑わなかった。


だから私は、人から言われた言葉をすべて実現しようと躍起になっていた。だって、それが生きる道であり、正しい道なのだから。


そう、正しい道だと思っていたのだから。


だから、その人のために、誰かに言われた言葉のために走り続けた。走って、走って、走り続けて。


もう無理だ。

自分の口からようやくこぼれ出た時にも、何もかもを失っていた。自分の手が憎い、この口角も髪の毛も、足も、声も、すべてがなくなればいいと思った。


このままどこかで見たようなアニメやドラマかのように、ふっと砂になって消えてしまえば、何も考えなくてもいいのに、なんて馬鹿なことを考えてさ。


たどり着いた先にあったのは、新しい言葉だった。


ああ、そっか。結局人間ってさ、こんなものなんだ。

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