妖精のお花屋さん
孤兎葉野 あや
プロローグ ―たどり着いた景色で―
少し早い朝に、お手伝いの支度をして、家を出る。
小さい頃から病気がちだったこの身体は、だいぶ元気になったけれど、体力があまり無いほうなのは、今も変わらない。
それでも、朝ごはんをしっかりと食べて、遅刻しないよう早めに出掛けるのは、私にとって大切な場所があるから。
少し眩しい朝日を浴びながら、しばらく歩いた先にたどり着くのは、小さいけれど、綺麗で活き活きとした花がたくさん並ぶ、一軒のお花屋さん。
中に入れば、このお店を立ち上げた優しいお姉さんが、「りいねちゃん、おはよう!」と笑顔で迎えてくれる。
そんなお姉さんと、傍に浮かぶ少し厳しいお姉さんの顔、そしてお店の中をきらきらと漂う光に、「おはようございます!」と挨拶をするのが、大好きな朝の一時だ。
やがて、その中から小さな光が一つ、こちらへと飛んできて、見慣れた姿に変わると、私の肩にちょこんと座る。
「おはよう、ルリ!」
私の声に、笑みを返す小さな相棒とうなずき合って、このお店・・・『妖精のお花屋さん』での一日は、始まりを告げるんだ。
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