第75話「仲直りと衝撃な事実」
「ほ、星音くん! さっきはごめんね!」
ワタクシは、ファントム様のアドバイスを受けて星音くんに会いに行った。
まずは、こちらの誠意を見せる事。
ワタクシ達は、旅館の廊下を歩きながら二人っきりになっていた。
「もう良いよシロル、僕もヤケになりすぎた。てか、そろそろ先の話をしよう」
「ふぁ!?」
こ、これはもしや!?
ワタクシの胸が高鳴っていると、星音くんはワタクシの予想とは違う事を語り始めた。
「数ヶ月後にドイツのシュトゥルムアングリフの連中が日本に攻めてくるんだろ? 今は秤蜘蛛が国連と対応してるけど、僕達も戦闘に参加しなきゃだし。それにお前の『反響定位(エコーロケーション)』を見せてもらったが、かなり便利な能力だ。お前の事は、まだ好きになれないが、戦場では命を預けるに値する能力だと確信したよ」
そ、そうだった、数ヶ月後にドイツの闇組織と戦うんだった。
うぅ、ワタクシの心の中のファントム様が、めっちゃ応援してる。
ゆ、ゆゆゆ勇気を出せワタクシ!
「あ、その、えと、ワタクシと夜の温泉街を散歩しませんか? ほ、ほら、先の戦いばかり気にしてたら身が保ちませんよ? 今日ぐらいは心を休めましょうよ……」
「む? 確かにそうだな。秤蜘蛛が頑張ってるし、それに僕達が温泉街に来れたのも秤蜘蛛のお陰だしな……シロル、もう僕にエッチな事はしないよな?」
「しませんよ!」
♡♤♧♢
「足湯って、良いですね」
ワタクシ達は温泉街で買ったお団子を食べながら足湯に浸かっていた。
今がチャンス! ファントム様から貰ったアドバイスを活かす時だ!
「星音くんは、好きな人ができた事は、ありますか?」
「は? 何を言ってんだ? あぁ、雑談みたいなものか、そうだなぁ。月音姉さんが昔ヤバい状態だったからなぁ。誰かを好きになる余裕なんてなかったか」
「それって、黒翡翠病ですか?」
「いや、たぶん違う……月音姉さんは、幼稚園から中学の間、自分の部屋から出てこなかったんだ」
「何かあったのですか?」
「さぁねぇ、何があったのかすら僕達に話してくれなかった。僕達の母さんと父さんが必死に介護したり、勉強とかしてくれて、何とか中学を卒業できて高校に入学できたけど……なぁシロル、今から言う事を信じてくれるか?」
星音くんが、かなり真剣な顔になってる。
ワタクシは
「僕達の母さんと父さんは、表向きは失踪した事になってるが、あの二人はまだ僕達の家に居ると思う」
「? どう言う意味ですか?」
「……消えたんだ。僕の目の前で両親が音もなく消滅した。何が起こったのか分からないが、分かりやすく言うと神隠し的な奴だと思う」
き、消えた? まさか、ブラックジェイドの力で? ブラックジェイドの事はファントム様から口止めされてるけど。
星音くんにブラックジェイドの能力を説明するべきだろうか? いや、余計に星音くんを苦しめそうで怖い。
「まーなんだ。両親の身に何が起こったのか知らないが、こんな事を話せるのは、お前だけだぞシロル」
「それは……ワタクシを信頼してるから?」
「かもなぁ。暗い話になって悪かったな。もしも僕に好きな人ができるとしたら、それこそ黒翡翠病を完全に無くした時だけだろう」
それを聞いてワタクシは決心した。ワタクシは星音くんの力になろうと……す、好きだけど、ワタクシの一方通行で迷惑かけたくないし!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます