第70話「ツンデレ女の子だぁ!?」

「お、おはようございます」


「……何しに来てんのお前?」


 僕が学校に行こうとしたら、アルセーヌのシロイルカが僕とは違う学校の制服を着ていた。


 髪は薄い青みがあるショートヘアーで、今回は男装ではなくセーラー服を着ていた。


 てか、サラシで隠してたと思うけど、コイツ胸デカくないか?


 これで僕と同い年?


「あ、あんまり、ジロジロ見ないでください」


「家の前でスタンバってた不審者が何を言ってんだ」


「こ、これは、違うのです! ファントム様からの命令で、通学だけでも星音様と一緒にと、だから勘違いしないでください! ワタクシは星音様の事なんて好きじゃないですから!」


 ……嘘だろ、コイツ演技か? リアルでツンデレする奴とか初めて見たんだが。


 僕はシロイルカを無視して学校に向かうと、隣でシロイルカが歩き始めた。


「付いてくるな」


「こ、こここ、これもファントム様の命令です」


「何でもかんでもファントムさんに罪をなすりつけるな。あの人、見た目は若いが高齢者だぞ?」


 お、そろそろ分岐点だな、コイツと僕の学校は違うから、ここでお別れだ。


「じゃーなシロイルカ」


「あ、あの星音様、ワタクシの事は親しみを込めて『シロル』とお呼びください」


 シロイルカ、もといシロルを見ながら溜め息を吐いた。


「じゃあシロル? これで良いのか?」


「は、はい! では、また放課後に会いましょう!」


♡♤♧♢


「……」


 放課後、僕は家に帰ろうとしたら、シロルが僕の学校の校門の前でスタンバっていた。


 向こうが勝手に約束したとは言え、なんか見つかったらやだなぁ。


「あ、星音様……」


「風読加速(エアドライブ)!」


 僕は能力を発動して逃げた。


「待ってください!」


 うわぁ!? 風読加速の速度に付いて来た!?


「か、勘違いしないでください! ワタクシは星音様が好きで待ってたわけじゃありません! 全てファントム様の命令です!」


「ファントムさんは、お爺ちゃんなんだから、これ以上は肩に罪を乗せるな!」


♡♤♧♢


「ぜぇ、ぜぇ」


「はぁ、はぁ、ほ、星音様、近くにカフェがあるので、そこで一服しませんか?」


「いーやーだー! ストーカーツンデレ巨乳女子中学生と一緒にカフェに入ったら、変な噂が立つだろ!」


「そうなってほしいから言ってるのです! ……前言撤回!」


「無駄でーす! 言質と本音を聞きましたー! この変態イルカめ!」


 僕とシロルが口論になっていると、いつの間にか周囲に人が集まっていた。


「ふっふっふ、ワタクシの罠にハマりましたね?」


「なんだと?」


「人が集まってる中で、能力を使って逃げる事は出来ません! さぁ、一緒にカフェに入りましょう!」


「ちくしょーめー!」


♡♤♧♢


「うそぉ、お前も月音姉さんと同じ学校に入るの?」


「当然です。月音閣下……いえ、ファントム様の命令で、これからは月音さんと呼ぶ事にします。取り敢えず、我々アルセーヌと告死蝶は同盟を結んだのですから、これから仲良くしましょう!」


「あーはいはい、もうどうでも良い」


 僕は諦めてコーラの上にソフトクリームを乗せたフロートを飲んでると、シロルがスプーンでソフトクリームをすくって、僕の口の前に持って来た。


 顔面真っ赤っかで目はグルグルだけど。


「ど、ドドドド! どうぞ星音様、ワタクシからのあーんです……勘違いしないでください! こうすれば星音様が喜ぶとか考えてませんから!」


 これからコイツにストーカーされる日々が続くのぉ?


 僕は呆れながらシロルからのあーんを貰った。


 ……おい、僕達をカップルか何かと勘違いしてる他の連中、こっちを見るな。

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