第59話「やりにくい敵」
「すごい! キラキラだぞ!」
パンダちゃんがカジノの中を見て興奮している。
てか、私も驚いている。
合法カジノで、しかも未成年も入れるレジャー施設だからだろうか。
内装は綺麗だし、スロットマシンやらルーレットやら、色んなゲームが沢山ある。
やっぱりここでも仮面を付けた人達が居るし、でも仮面を付けてない親子連れとか目に映るな。
「月音閣下、難しい事は考えず好きなゲームをお遊びください」
シロイルカくんが、そう言うなら、私は適当にスロットマシンに座った。
その隣にも星音が座った。
後ろで克奈ちゃんとシロイルカくんの会話が聞こえてきた。
「なぁ、私は一応保護者なんだが、本当に無料で遊んで良いのか?」
「はぃぃ、月音閣下の関係者様には無料で当カジノを遊ぶ事を許されております。こちらのカードを各ゲームのディーラーにお見せください」
私はチラ見で見たけど、ちゃんと私達五人分の黒いカードをシロイルカくんが、克奈ちゃんに渡している。
「うおーい、パンダ、シャム、遊ぶ前に、このカード待っとけよー」
「「はーい!」」
素直な子達だ。
私達も克奈ちゃんから黒いカードを受け取って、初めてのスロットマシンを回した。
おお、これよく分からないけど、同じ絵柄を揃えれば良いのか?
♡♤♧♢
僕ね、一応はフランス語が読めるんよ? フランス語って文法が綺麗で美しいと言われるけど、意味が分かると嫌になる。
シロイルカとか言う仮面野郎から貰った黒カードには、フランス語で暴言が書かれていた。
ーーやーい、メンバーにトランプの数字を付けてるくせに、ワタクシ達のようなギャンブラーじゃない虫さん達の王様の騙蛾様。月音閣下が奪われたくなかったら一対一で勝負しろ。あ、もしかして戦闘しか能がない脳筋なのかな? ぷーくすくす。
あんにゃろぉ!!
僕は立ち上がって、いつの間にか居なくなってるシロイルカを探す事にした。
「あれ? 星音、スロットやらないの?」
「うん、ちょーとやりたいゲームができたから、僕はお姉ちゃんと別行動するね」
「……星音、怒ってる? 何か嫌な事あった?」
「べっつにぃ?(半ギレ)」
♡♤♧♢
「見て見てシャム! かじのの中にお魚さん達が泳いでるぞー!」
「本当だー! ここ水族館でもあったのか!」
まぁ、一応は私は保護者だし? 目の前の元気っ子二人が変な行動しないか監視するけど、ここって敵組織の中だよね?
なーんか、これまでの敵と違うなぁ。
仮面付けてる連中は、強いが戦う気配も無いし。私は、こう言う敵が苦手なんだよなぁ。
私が悩んでいると、パンダに腕を引かれた。
「克奈! 一緒にお魚さんを見ようよ!」
「えー? ここカジノだろ? せっかくカード貰ったから遊べば良いのに」
私がそう言うと、背後から声が掛かった。
「マドマアゼル(お嬢さん)の言う通りです。ここはカジノ、俗世の悩みを全て忘れて遊び倒す場です。おっと、ワタシは『アザラシ』と言う者です」
私の後ろには、アザラシと名乗った長身の仮面男が立っていた。
……普通に気付かなかった。コイツ強いかも。
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