第55話「初めての初詣」

 話はアメリカから日本に戻って、月音達は初詣に来ていた。


♡♤♧♢


「はつもうで? なにそれ?」


 パンダちゃんが、コタツに入りながら私に尋ねた。


「ふっふっふ、それは、今年の運勢を決めるビッグイベントなのだ!」


「え!? そんなすごい事が起こるの!?」


 この反応を見ると、どうやらパンダちゃんは初詣の存在すら知らなかったらしい。


 もうすぐ冬休みも終わって、パンダちゃんが私の学校に転校する事になったけど、パンダちゃんも家族の一員になったし、今回は家族総出で初詣に出掛けよう!


「わぁ、初詣ですか? 私達はイエネコとしての活動に明け暮れてたので、月音様達と初詣するの楽しみです!」


 なるほど、キジトラちゃん達も初詣の経験が無いのか。


 毎年は星音と一緒に行ってたけど、なんか気が付いたら家族が私含めて7人になった大家族になってしまったし、全員で行くのも悪くない。


 てか、私のお母さんやお父さんが今頃、何をしてるのか知らないけど、帰って来たら驚くだろうな。


♡♤♧♢


「じゃじゃーん! 私達、気合いを入れました!」


 キジトラちゃん、ラグドールちゃん、サビネコちゃん、シャムちゃん、パンダちゃんが晴れ着姿になっている。


 こんなに美少女まみれだと私は思ってしまう。パンダちゃんは女の子だけど、他のみんなは男の娘のはず。


 だが、みんな顔が女の子にしか見えないんよね。


 性別の時空が歪む。


「お、お姉ちゃん、なんで僕だけ着物ミニスカートなの?」


 そう、星音だけは丈が短い着物ミニスカートで、更にはニーソックスを履かせてロングブーツを履かせた!


 どうだね、この完成度! 大正ロマンを感じないかね?


 私達、着物美少女大家族が参拝に行くと、参拝客達から注目の的になっていた。


「な、なんかジロジロ見られてるぞ?」


 パンダちゃんが怯えてる!


 私はパンダちゃんの手を握って安心させた。


「パンダちゃん、私と手を繋げば怖くないでしょ?」


「そうだな! 月音の手はあったかいもんな!」


 パンダちゃんの純粋な笑顔を見てると、星音が膨れっ面で私の手を握った。


「お姉ちゃん、パンダちゃんばかり見ないで、僕も見てよぉ」


 これこそ、両手に花! 両手に美少女二刀流!


 私が心の中で叫んでいると、私達は賽銭箱さいせんばこに向かって小銭を入れた。


「? なんでみんな、箱にお金を入れてるの?」


「パンダちゃんは知らないか、こうやってお金を入れて神様に参拝……まぁ、今年も見守ってくださいと言う願いを神様に送るんだよ」


「へー、じゃあ私は沢山入れるぞぉ!」


 パンダちゃんが元気に小銭を大量に投げ込む。


 元気だなぁ。


♡♤♧♢


「月音様月音様ー! シャムは、おみくじで大吉が出たぞー!」


「私もだいきち? が出たぞー!」


 我が家の元気っ子であるパンダちゃんとシャムちゃんは大吉を引いたらしい。


 キジトラちゃんは中吉、ラグドールちゃんは吉、サビネコちゃんは大吉、私も大吉。


 ほうほう、中々に縁起が良いですなぁ。


 星音は何が出たのかな?


「ねぇねぇ、星音は何が出たの……」


 私は星音が持ってる、おみくじを見て固まった。


 ーースーパーウルトラ大魔凶Welcome to the hell(地獄にようこそ!)。


「……巫女さーん! おみくじチェンジで!」


 私の要望で、星音のおみくじはやり直して、星音は中吉が出た。

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