第15話 初心者向け、小説の書き方


 ここからは少し、小説の表記とカクヨムの使い方を解説します。


 

 カクヨムには、大きく分けて、小説から入ってきた人と、マンガから入ってきた人がいます。


 小説から入ってきた人は、小説の表記のルールを知っていますが、いっぽうで1エピソード二万文字なんていう投稿の仕方をします。


 マンガから入ってきた人は、小説の表記のルールを知りません。また、一人称と三人称のちがいも理解できません。


 とまあ、その辺りのことを話していきましょう。



 まず小説の表記です。


 Web小説では、空行を大量にいれますが、これは「書籍のルール」ではありません。画面上で読みやすくする工夫です。


 書籍、特に小説のルールとしては、行頭一字下げが重要です。


 文の最初を一字下げます。全角スペースをひとつ入れてから、文章を始めます。


 改行しない場合は入れなくていいです。改行したら、またスペースを入れます。


 これは、カクヨムの小説執筆画面の左側にあるツールで、一括で入れられます。

 

 本を読んだことのある人ならご存知でしょうが、日本の通常の出版物はすべてこの行頭一字下げがされています。これは社会常識だと思って下さい。


 ただ、短文と改行、空行の多い携帯小説から進歩してきたWeb小説では、その必要がない場合もあります。が、もしあなたが、1ミリでも書籍化というものを考えるのならば、行頭一字下げは意識するべきです。

 また、行頭一字下げをしてあると、長文レビューも読みやすいです。レビューに空行を多数いれる人はいないので、これは大事です。



 ただし、行頭がかぎ括弧の場合は一字下げはしません。すなわちセリフの頭にくる「←これですね。これは小説独自のルールだと思って問題ないです。


「おはよう」というように、誰かがセリフを言い始めたときは改行し、一字下げはしません。

 理由は、かぎ括弧はそれがあるだけで、少し行頭が下がって見えるからで、さらに一字下げすると見栄えが悪いからです。


 余談ですが、昔は出版社によっては、かぎ括弧も行頭一字下げをしていました。いまはなくなったと思います。


「おはよう」彼は言った。「今日はいい天気だね」


 という標記もあります。この形態は、英文でやるやり方ですので、翻訳小説では多いですね。この場合「おはよう」と「今日はいい天気だね」は、同一人物が言っていることになります。


「おはよう」彼は言った。

「今日はいい天気だね」


 と表記すると、「いい天気だね」は相手が言っていることになります。

 正確には、作者であるあなたが、改行された段階では、「いい天気だね」と相手が言ったものだと判断する、もしくは勘違いする可能性が高いです。


 小説の標記で重要なのは、あなたがどういうつもりで書いたか、ではなく、読者がどういうものだと思うかです。


 また、上手いミステリー作家はこの、読者がどう思うかを利用して、鳥肌立つようなミスリードを仕掛けてくることがあります。それを叙述トリックといいます。

 少し話がそれました。



 かぎ括弧の話を続けます。

 かぎ括弧は、数式と同じで、ルールがあります。「のあとは」で閉じます。「のあとに)は使えません。というか、意味が通じなくなります。「」の組み合わせで使い、「」の中に「」は入れられません。


「君は「そして誰もいなくなった」を読んだことがあるかね?」


 ではなく、


「君は『そして誰もいなくなった』を読んだことがあるかね?」


 となります。数式と同じです。


 

 昨今、会話文で、


「おはよう」

「「おはよう」」


 というのが流行りました。二人の人間が同時に「おはよう」といっていることを表現する方法ですが、標記ルールとしては間違っています。が、Web小説で流行り、書籍化されたライトノベルでも散見されました。



 もう何度もいったことなのですが、じゃあサッカー小説の会話文で、


「よし、みんな、行くぞ!」

「「「「「「「「おう!」」」」」」」」


 とか、やるんでしょうか?

 ちなみに、かぎ括弧の数が8つしかないので、一名返事していない奴がいますが、みなさんちゃんとかぎ括弧の数を数えましたか?



 ただし、これ、最近はあまり見なくなりました。


 標記の話はもう少し続きます。



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