Un Livre du Destin
Frawr
Chanson
-1-
微睡む夢の中で誰かの悲しい詩を聴いていた。それはきっと、何処までも悲愴で何処までも救いのない
そんな夢の中から目覚めた青年は、夢心地に囚われ自身の置かれている状況を把握するまでに時間がかかってしまった。黒のアジア民族を思わせる黒服に少し薄目の黒いボトムを着ている青年は次第に意識が鮮明に色づき、頭の白紙が形作っていく。
辺りは天高く青々と繁る見知らぬ森林が取り囲み、全てを呑み込むかの様に深く、そして柔らかな空気が包み込んでいた。どれだけ
そんな森深くに眠っていた理由が思い当たらず、鮮明になった頭をフル回転させ過去の記憶を探る。
「俺は一体……此処は何処だ? 」
探せど探せど過去に繋がる糸口を見つけられず自身が何者なのかさえも分からない。しかし、このような状況でも冷静でいられるのは何故なのだろうか?
頭を抱えながら鉛のように重い痩せた身体で立ち上がると不意に何処からか透き通るような歌声が響いてきた。
歌声は何処までも悲愴であり、まるでこの世界に問いかけるかのように辺りの静寂を許さず、有りとあらゆる全てに共鳴しているようだ。
そんな歌声に身体は無意識に引き寄せられるかのように近づいていき、歌の鼓動が大きくなるにしたがい自身の鼓動が早鐘を打つように高鳴っていくの微かな意識の深くで感じていた。
深い森を抜けた先には日光を反射して輝くような
しかたなく歌声の方へと歩みを進め、湖の先へと辿り着いた。
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