第72話
「そうだったんだ。
でもっ、なんで教えてくれたの?私のこと面倒なんじゃ...。」
「俺じゃ対処しきれないってこと。百嵐なら出来るだろ?学校でも守ってもらうこと。」
「...うそ。」
優菜が口元を手で抑えた。
そして、一筋の涙が溢れる。
「また泣くわけ?」
俺は、どんだけ泣くんだと少し笑いながら彼女の涙を拭った。
「えっ、今笑った?どうしよう、心臓が...。」
「何?」
「な、何でもないっ!」
「あ、学校でいきなり親しくすんなよ?いつも通りな。百嵐の奴ら俺だって知らないから、このことは他言無用で。」
「う、うん!」
俺はそろそろ迎えが来たかとフードを被りなおす。
「楪くん?」
「シッ。今は朱雀だから。...迎えが来た。」
「えっ?」
俺は、立ち上がって目の前を見据えた。
「やっぱり、優菜に接触したか。」
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