【おっぱい系ホラー短編】こうして俺は死んだ

猫とホウキ

第1話 振り返ってはいけない

 俺は夜道を歩いていた。


 街灯はあるが、道は暗い。一人きりのはず──だが、背後から俺を追うようにして誰かの足音が聞こえてくる。


 立ち止まると、背後の足音が止まる。歩みを再開すると、背後の足音も再開する。


 、そこに在るのは。そう直感が語っていた。そんな俺に向かって、背後から女性の声。


「アイドルの○○○さんにソックリって言われるんですよね、わたし」


 あの国民的アイドルの○○○だと!?


 俺は振り返りそうになった──が、ぎりぎりのところで踏みとどまった。


 落ち着け。きっと嘘だ。背後にいるのが○○○(のソックリさん)なわけがない。きっと似ても似つかないホラー女がいるに決まっている。


 背後からの声は続く。


「わたし裸なんです」


 このくそ寒い真冬の夜に裸だと!?


 俺は振り返りそうになった──が、ぎりぎりのところで踏みとどまった。


 落ち着け。幽霊は(たぶん)風邪など引かないから心配する必要はない。それに俺は幽霊の裸など見たくもない。


 背後からの声は続く。


「ウエスト59センチでFカップです」


 痩せてるのに巨乳だと!?


 俺は振り返りそうになった──が、ぎりぎりのところで踏みとどまった。


 落ち着け。ウエスト59センチは嘘だ。絶対にさばを読んでいる。それにFカップでも形が良くなければ見る価値などない。


 俺が振り返らないでいると、背後からの声はんだ。よし終わったか──そう安堵した瞬間「」耳元で声がして、俺は迷いなく振り返っていた。


 こうして俺は死んだ。




【死因:眼球をくり抜かれたことによるショック死。なお彼が死ぬ前に幽霊さんのおっぱいを見ることができたかどうかは不明】

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