プロローグ

第1話

あれっ?曲が減ってる?いつものように愛車を運転しながら聴いていた一枚のCD。収録曲を一周聴いたところで違和感を感じた。なぜか曲が一曲減っている。そう感じて焦った。あの人にもらった、お気に入りのCD。記憶の中の思い出だけでなく、あの人が残した形あるものさえも、消えていくのか…?

この手で全てを消してしまうことになりそうで、再生停止を押すことが怖くなった。


CDを停止させることも出来ずに、スピーカーから流れる音を記憶に留めようと、ただただ意識を曲に集中させた。そして、ふと感じるデジャブ。前にもこんな事あったっけ?曲が消える恐怖。いつの事だったかは思い出せない。でも、あの時消えてなかったじゃん。思い切って、CDを止めた。

自分の手で停止を押し、恐怖を振り払った。


そして、再び再生ができるかは確かめずに車を降り、歩き始めたのだった

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