『シップ』 2
やましん(テンパー)
『シップ』 2
宇宙船『グービー号』は、銀河系の首都、コン・サル・タントに向けて飛行していた。
一年の長旅である。
途中には、空間跳躍が禁止されている領域があるためだ。
銀河連邦が設定した空間である。
うっかり跳躍されると、ごろごろしている、危ない空間移動性小惑星にぶつかる可能性が高いからである。
ただし、その正体はいまだ解ってはいなかったが。かなり、危険なものであることは確かで、一旦入り込んだものは出てこられないと言われていたのである。
マシヤーンは、会社からの出張だった。
ま、しかし、早い話し、出張する必要など、もはやない。
無人空間物質配達機能が一般にも解禁されたからである。ただし、やはり、危険地域は避けなくてはならない。時間はかかる。
しかし、やはり、直に、顔見せをしておく必要性が無いわけでもなかった。
それだけである。
ましてや相手は、巨大かたつむり属のボスさんだった。
体高7メートルに及ぶ。
伝送品は信用していない。
最近は、歳をとったせいもあり、節々が痛いらしい。
だから、『巨大かたつむり属専用シップ』がお好みである。
見た目はかたつむりだが、地球のかたつむりとはまるで無縁の種族である。むしろ、哺乳類に近い。
『やあ、マシヤーンはん。シップ持ってきたかあ?』
『陛下。勿論です。しかも、新製品ですよ。』
『おー。すごいなあ。ぜひ、すぐ試してみたい。』
すると、侍従長が言った。
『陛下。まずは、試し張りをいたしませんと。』
『ちぇ。ややこしいなあ。マシヤーンはんは、信用できるぞら。』
『そういう問題ではなくて、思わぬふく反応があるやもしれませぬゆえにしかりしてぞら。』
『わかったぞら。さっさとはりゾラ。』
『はいはい。ぞら。』
侍従長は、ボスよりかなり、年上である。
だから、腰痛もひどかったのである。
『はい。はりはり。………おわゎ〰️〰️〰️〰️。きくぅ〰️〰️〰️😘 これはよいでぞら。』
第2侍従長が寄ってきた。
『なになに、おらにも。……お〰️〰️〰️。天国ぞら。』
第3侍従長も来た。
『わらしにも。…………じわ〰️〰️〰️〰️😢 うわあ。ぞらぞら。』
第4侍従長、第5侍従長……と、100人の侍従長たちがしっぷを貼っていった。
『もう、よかろう。なに、なくなった? マシヤーンはん。追加をたのむぞら。』
『いや、さすがは、ボスだなあ。なんだかんだと言っても、部下を優先させるとは。見上げたものだ。地球の指導者も見習うべきだな。しかたがない、この際、自分用も提供しよう。』
マシヤーンは、長い宇宙船内で、自分で使うために取っておいた分も含めて、すべてを提供したのである。
それで、ついに、過去最大の、大量の受注をしたのである。
まあ、成功だった。
当然、祝宴が開かれた。
さて、帰りの宇宙シップが、なんと、空間移動性小惑星の大群に遭遇した。その正体は、異空間海賊『アン・コロモーチ・ミート・コン・ドーリア』であったが、ついにその真の姿を見せたのだ!
『シップだせ!』
宇宙海賊は、強硬に要求してきた。
しかし、シップはすべて、売り切れであった。
宇宙海賊は、シップを作るテクがないため、盗賊をしていたのである!
『売り切れですよ。』
『なに〰️〰️〰️。では、成敗いたす。』
『んな、むちゃくちゃなあ。それでは、地球の戦争と同じではないですかあ。いまどき、時代遅れなあ。』
『シップが必要なんだ。みな、盗賊をすると、足腰が痛いんだ。』
『盗賊をやめましょう。』
『立派な労働だ。』
『あなた、間違っています。』
『我々には当たり前だ。成敗だ、成敗だ。』
危機一髪である。
が、そこに、なんと、コン・サル・タントの巨大かたつむり属の宇宙戦艦がやってきた。
船の形もかたつむり型である。
これが、まあ、強いのなんの。
宇宙海賊は、降参した。
それから、停戦協議となり、宇宙海賊は海賊はやめる、その代わり、シップを正当に輸入することとなったのである。
ついに、危ない空間は無くなり、運送は早くなり、みな、それぞれに得をした。
巨大かたつむり属のボスは、シップを張りながら言った。
『いや、めでたいな。これこそが、パートナー・シップだぞら🎵』
😆😉😄😊😏😰😘😚
🔲じゅわ🎵
『シップ』 2 やましん(テンパー) @yamashin-2
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