第15話 キスがスイッチ
「ちょっと二兎、なんでいきなりまたこんなことしてんのよ!?」
慌てて二兎を押しのける。
「いや、お前が現実に戻りたいって言うから...」
え?どういうこと?
周りを見てみるとそこは二兎の部屋だった。
「ほんとだ、戻ってきてる...」
昨日から今さっきまでに起きたことを思い返してみる。
私はこれまでに二回も二兎の小説にワープしちゃったわけだけど。
【スーパー☆ダーリンガチャ】っていう変なガチャガチャにお金を払って出てきたカプセルを開けると小説の世界にワープ。
で、小説の世界から現実の世界に戻ってくる時は、二回とも二兎とキスした瞬間だった。
「二兎、もしかして小説の世界から戻ってくるためには、その...き、キスをしなきゃダメなの?」
「おぅ、愛にしてはよくわかってるじゃねーか。王子様の目覚めのキス的なやつよ。」
「そのシステム最悪なんだけど!!!」
「まぁいいじゃねぇか、一回しちゃったんだし何回やっても別に減るもんじゃねーだろ。」
「よくない!!!」
キスって、普通は恋人同士でするものでしょ?
二兎はなんで私にキスしても平気なの?
私はこんなにドキドキしてるのに...。
そうだ、指輪はどうなってる?
慌てて確認すると左手の薬指には相変わらずしっかりと金色の指輪があった。
「二兎、なんでアンタが小説の世界にワープできるのか、そんでもって戻る方法についてはまた後で聞くことにするわ。でも、まずはこの指輪をどうやったら外せるのかだけは教えて。」
「うーん...、それは俺にも正直よくわからないんだよな。」
「二兎の指輪だって外せないでしょ?このまま私と誓いの指輪をお揃いで付けたままでもいいわけ!?」
「...別に俺は平気だけど。」
二兎が私の目をまっすぐに見て言う。
どういう意味...?私は思わず目を逸らしてしまう。
それってつまり、二兎って私のことが...?
しばらくお互いに沈黙が続いたあと、二兎が話し始めた。
「俺はさ、子供の頃からずっと希のことが好きだったんだよ。」
え?この流れで何言ってるんだこいつ。
お姉ちゃんのことが好きだった???
いやまぁお姉ちゃんの話からもそんな気はしていたけども!
10年前はお姉ちゃんと一緒に小説の世界に行ってたみたいだし!?
でも改めて二兎から聞くと、なんだかすごくショックだ。
「私だって、ずっと二兎のそばにいたのに...」
そう言った瞬間、俯いていた私の目からは涙が溢れていた。
あれ?私、なんで泣いてるんだろう???
「おい、なに泣いてんだよ。話はまだ終わってねぇから、最後まで聞けよ。」
顔を上げると、二兎が私の頬の涙を拭いながらくしゃっと笑っていた。
こっちは泣いてるのに余裕で笑っててムカつく。
「なによ、二兎のくせに余裕ぶっちゃってさ!いいわよ、たっぷり聞いてやろうじゃないの!」
私は必死に涙を拭いながら強がって答えた。
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