第11話

私と瞬が付き合っているのはみんな知っている。


そして、いつか私に想いを告げてくれた匡哉君も「瞬とうまくいってる?」と気に掛けてくれる。


返事に渋るも、すぐに「うん」とだけ返した。



「あいつは不器用だかんなー!」


いつだって変わらず匡哉君は接してくれる。


「もしなんかあったら俺の部屋泊まっていーからね!」


そんな冗談を優子さんが「あんたそんな事言ったら彼女に言いつけるわよ!」と聞き逃さなかった。


「え!!!」


驚く私に「すんごいかわいー彼女いるのよ」と、優子さんは続ける。


「そーなの!?」


「なんですぐ言っちゃうんだよ!」


「別に隠すことないじゃない」


「まぁそーだけど」


匡哉君は照れくさそうに頭をかいた。


「まだ付き合ってちょっとだけなんだけどね」



その照れた顔が幸せそうで、うまく言えないけど私は嬉しかった。



「そんな事より優子さんは修司さんとどーなの」


名前が挙がった修司さんと言えば、今日は用事があって来れないらしい。


話題をすり替えた匡哉君に「私はいーの!」と優子さんはそっぽを向いた。


「匡哉、大学でしょっ中2人でいるよ」


ハルさんがここぞとばかりに発すると「なーんだ!!そっちもラブラブじゃーん!」と匡哉君が茶化した。


「あ!!なんの話だ!!!」


娘の話になると敏感なおじさんに「お父さんは黙ってて!!」と、優子さんが一喝した。

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