首を傾げた花音を見て、沙織は溜め息をつく。
「知らないの?朝、ニュースでやってたよ?」
「…見てない。」
「えっ!?…あ~、今朝はそれどころじゃなかったか~。」
笑う沙織に、花音はコクコクと頷く。
「始まるまで、あと数分ってとこね。私ちょっと御手洗いに行ってくる!姫は?」
「私は大丈夫。…荷物、持ってようか?」
「ううん、大丈夫。そこで待ってて!」
沙織は、そう言って御手洗いに向かって駆けていった。
残された花音は、何気なく近くの展示品を見る。
そこに展示してあったのは、直径10センチ程の小さな青銅の鏡だった。
弥生時代に中国大陸から渡ってきたものらしい。変わった模様のような文字が刻まれていて、花音には読めなかったが、
『久不相見 長毋相忘』
と書かれているらしい。
(…どういう意味だろう?)
そう思って説明板を見る。
そんな花音の横を、隣のクラスの男子が、彼女らしき女子の手を引いて駆け抜けた。
「急げ!日食始まるぞ!」
「待って~!」
そんな2人を見送りながら、花音は思う。
(いいなぁ…恋人なんて羨ましい。
彼氏なんて いた事ないし、自分から告白なんて、怖くて絶対出来ないし…。
だけど…、素敵な出逢いが欲しいな…なんて、夢のまた夢だよね。
もういっそ逆ハーとか?そういう状況にならないと私に彼氏なんて無理かも…)
そんな事を思って苦笑した直後、目の前の銅鏡が光った気がした。
「…え…?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます