第113話

つまりあの2人さえ殺してしまえばもう私たちを脅かすものはない。



母親の話だと、楓の断末魔の苦痛は1週間にも及んだそうだ。



全身に壊死が広がり、高熱に苛まされ、蛆虫に食い荒らされ、幻覚と幻聴に錯乱し怯え発狂して死んでいった。



なんという恐ろしい死にざまだろう。



しかし、あの楓にはぴったりだと私は思った。




「最後に残してくれたのはこれくらいで……」



母親は楓の遺骨の脇にある小箱を手に取ると中を見せてくれた。



人型だ……



私の中に楓は「私たちの呪いで死んだ」という満足感が強くなった。




「あのう……楓さんはいったい何の幻覚や幻聴に怯えていたのでしょう?」



これは改めて知っておきたいところだ。



「黒い塊がいるとか……私には何のことだかさっぱり」



黒い塊?石井君でもなければ奏や百音でもない……



教室で暴れたときは石井君や奏や百音のことを口走っていたのに……



黒い塊……なんだろう?

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