第92話

「これ……掃除しないとダメだよな?」



男子の一人が言った。



「そうだね」



女子と男子、3人ほどが床に飛び散った血を掃除しようとした。



「漂白剤使わないと感染するかもよ?」



私が言うと掃除しようとしていた3人が顔を向ける。



「なにが感染するの?ウイルスとか?」


「呪い」



私が返すと質問してきた女の子は青ざめた。



クラス全員が呪いを強く実感していることを感じる。



ついにチャンスが来たと私は思った。




「みんな聞いて」



教壇に立つ私を教室に残ったすべての生徒が見る。



その中には佑真と結奈もいた。



「さっきのことどう思う?あれこそ呪いじゃないの」



「あれが呪い?」



「いや、ノイローゼなんじゃないの?頭がおかしくなったとか?」



「ならいいんだけどね」



言葉を区切ってから全員の顔を見る。



「いじめで最も主犯格の深川さんがみんなのことを、既に死んだ石井くんや田島さんだと思って、カッターナイフで切りつけてきた……」

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