第68話

「だれ?」



「私じゃない」



「俺でもないよ」



私も首を振る。



「嘘だろ……死体が起き上がった……」



佑真の呆然とした声に全員が反応し、信じられないものを見た。



地面に激突して弾けた佑真が立っている。



その口から呻き声のようなものが盛れてきた。




「なんで!?なんで死んでるのに立てるんだよ!?死んだんじゃなかったのかよ?ええ!おい!?」



「俺が知るかよッ!!」



翔は恐怖で縋り付く佑真を振り払った。



「お…おおまえ……たち…は全員死ぬ……」



それだけ発すると奏は自分が作った血の池に再び倒れた。



月明かりに赤黒く照らされた血は、まるで体にまとわりつくように臭ってくる。



「今の……どういうこと?」


「奏の声じゃなかった」


「じゃあだれ?」


「まさか……石井君の!?」



楓と翔、私を除いた6人が掠れたような声で話す。




今度は突然滝のような雨が降ってきた。



楓たちは奏の死体が喋るという信じられない事態に遭遇して逃げるように帰っていった。



私たちもそれに続き学校を後にした。



百音と奏の死体をそのままにして。



誰も警察にすら電話しなかった。

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