若宮早苗5

第37話

次の日、私が学校に来ると教室はいつものように平穏な空気に戻っていたかのように見えた。



全てを知っている私から見たら必死に平穏を装っているようにしか見えない。




昨日後から聞いた話だが、他の教室のテレビにも異様な映像が映ったらしい。



教室の外から聞こえた悲鳴はそういう理由だったのだ。



そうすると、呪いの対象はこのクラスだけでなく、学校中ということになる。




でも、私からしたらそんなことは大したことではなかった。



だいたい人間なんて、自分が関わっていないところで知らないところで誰がどう死のうと関係ない。




心が痛むなどと口に出したところで、日常の生活は変わらない。



いつもと同じように家族や友達と笑、語らう……



そんなもんだ。




それよりも、私の関心はこいつらがどういう死に方をするかだった。



これが一番の楽しみであり、生きていて良かったと思えることだ。




これから私は出来る限りクラスメートを観察しようと思う。




呪いで狂っていく様を、死んでいく様を出来る限り見届けたいから。

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