第25話
どういうことだろう?
昨日、私が中へ入れたのは何だったのだろう?
やっぱり私より先に先生が来ていて鍵をかけたとしか思えない。
「でもこんな早くに来る?いくら自殺があったからって……」
まあいいや。
ここで考えるのは止めよう。
いつまでもここにはいられないし。
誰かに見られる前に、私はその場を後にした。
数歩過ぎてから振り返ると石井君が首を吊った木を見る。
花束やお供えの類は一切置かれていなかった1本の華もない。
あいつらに睨まれるから誰も怖くてそんなことはできない。
もし私がここに花を供えたとしたら、すぐに私か他のメンツがあいつらに何か言われるだろう。
薄情で情けないのは私も同罪だった。
同時に私が死んでも誰もそこに花を手向けないだろう。
いじめられている私達の誰が自殺しても。
私達はそんな程度の存在だった。
早く立ち去らねばという気持ちを抑え、石井くんが首を吊った、昨日前に行くと膝を折って両手を合わせた。
自分の不甲斐なさと臆病さを石井くんにお詫びした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます