第7話

桑原先生が礼を言うと翔が尋ねた。



「先生。誰ですか?死んだの」



翔の言葉は最後の「死んだの」という言葉を意図的に強調したように感じた。



「このクラスの石井だ」



桑原先生の言葉は教室中に重しを乗せたような空気を作り出した。



石井……石井和人。



このクラスで一番いじめられていた生徒の名前。



静まり返った教室の中で声を発したのは楓だった。




「自殺とかマジ迷惑」



結奈と百音が続く。



「ほんと。マスコミとかマジウザい」



「つか、学校で死ぬとかキモイ」



翔たちが肩を揺すって笑った。



「とにかく、お通夜やお葬式が決まったら知らせるから。それから取材とかには絶対に答えないように」



「はーい!マスコミはシカトしまーす」



「私も~♪」



翔と楓が返事をすると他の四人も倣って賛同した。



「おい!おまえら先生に返事ィ!!」



「「「はい!」」」



翔が大きな声で言うとクラスメート全員が声をあげて返事した。

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