若宮早苗1

第1話

「ぎゃああああ――っ!!」



夜の中庭に私の悲鳴が木霊した。



ギシッ…ギシッ……



木の枝がきしむ音と一緒に、目の前でクラスメイトが揺れている。




驚きで体が固まるということを初めて体験した。




私の目の前で、数時間前まで私の日常の風景の一部だったクラスメートが首をつっている。



首が脱臼したのか伸びているように見える。




人が人でなくなった……




目の前にあるのは肉の塊だ。




それが縄につるされて風に揺れている。




怖い、痛ましい、なのに目が吸い寄せられて離れない。




あまりの驚きで体だけでなく思考まで固まってしまったのか?





どのくらい眺めていただろう?じめっとした空気と共に失禁による異臭が鼻をついたことで我に返った。



同時に怖さが足下から毛を逆立てるようにぞわぞわ這い上がってくる。




風に乗って夜の暗闇から赤ん坊の泣き声、犬の吠える声が聞こえてくる。

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