第7話『夜明かり』

💡\ピカーンッ/


 明るい、光。


 ライトは便利。


 スイッチをポチッとすればすぐに、いつでも、部屋が明るくなる。


 でも……


 太い道路沿い、24Hと書かれた看板。 


 シエラレオネの国旗、ラッキーナンバーのはずの【7】、食欲減退色をまとった牛乳瓶。


 看板の放つ紫外線に、羽虫がせわしくたかる。


 だだっ広いアスファルトの平地の真ん中に佇む、平屋の建物。


 その側面の一つは、透明のガラス張り。


 ガラス越し、カウンターに立つ人の左胸には……


 「店長」とある。


 店長は、眠たそうに、目を擦る。

 

 客は、ここ数十分、一人もやってこない。


 店長は、いつからそこに立っている?


 昨日も立っていた?


 明日の真夜中も?



☀️🌕☀️🌕☀️🌕☀️



 そしてさらに、平屋の建物の向かいには……


 大きなビル群。


 言い換えれば、午前〇時を回っても、明かりのついているオフィス。


 空調は、ついているのだろうか?


 一人ぼっちの人は、いないだろうか?


 タイムカードは、切られていないのだろうか?


 明日は休みか?


 誰一人として、涙していないだろうか?


 人々の心は、明るく照らされているだろうか?


 少なくとも……


 空は、吸い込まれそうな、闇である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る