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家に帰ってくると、父さんはたいへんのんびりとゲームをしていた。「どうぶつの森」は雪かきしなくていいのに雪だるまを作れる謎の雪が降る。マロは父さんの膝でまったりぽんと寝ていた。
「おかえりー」
父さんがすっと手を挙げる。
「さて……出る前に仕込んでおいた試作版ローストチキンを出してみますか」
母さんはオーブンを開けた。唐突に異様に香ばしい、ヨダレの迸る香りがして、マロを含む家族全員がそちらを向いた。
「おー、なかなかよく焼けてる。やはり土井善治先生のレシピは最強だ……」
「なんそれ、ニワトリまるごと焼いたの!?」
清少納言が目をまんまるにしている。
「うん。クリスマスに作ろうと思ってたけどぶっつけ本番は怖くて。焼き加減がどんなもんか確認したかったし」
オーブンからローストチキンがどどんと出てくる。父さんは大至急でゲームをセーブし、マロは鼻を肺炎になったときよりヒクヒクさせ、僕は口半開きでローストチキンを眺める。(つづく)
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