明日へのオルタナティブ

間 敷

第1話 明日へ屹立する浪漫の旗印

ことによっては困難を極めるであろう細切れの物語の集積と解析は、白い箱詰めにした半永久の八の字を駆け巡る。加速、さらなる加速。私の旅は内面世界の冒険だ。旅先では「明日はかならず来る」という信仰が裏切られるおそれがある。夢なのか、病による空想なのか、隣接する不思議な世界に接触したのか、旅路の正体についてはまだ分からない。記録は記憶に改竄され、すべてを見誤り、前へ歩くつもりが後ろへ、方角は正反対に。私は私自身を疑わざるを得ず、果たして鏡面の中の私こそがほんものの私かもしれない。もし夢見ながらにして目覚めることができなければ、見るべきものを見ず、すべてが終わった頃、結局は堂々巡りだったと気付くのだ。だが、行くと決めたからには、例えそうなるとしても一向にかまわない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る