勤勉な君と怠惰な私
怠惰
『怠惰』な愛
--この世界で努力する意味はない--
私、東雲清華はそう考える。この世界に生きるものはどれだけ努力しても、最終的には、皆死に、その生涯をかけて、培ってきた「技」「力」「知識」その全てが無に帰る。それならば、努力する意味はない。こう思うのが一般的だと思っていた。
しかし、そんなことはない、例えば隣にいる、ボブカットが似合う私の友達である、ラフな生活の女の子、水無月葵に放課後この事のことをいうと彼女はこう言った。
「あたしは努力するべきだと思うよー。だって、努力をして、沢山の濃い濃密な人生を送ったほうが楽しいし、死んだ後も幸せだと思うからね!」
私は、葵の考えを聞き、自分と違う意見があることに驚き感心した。でも逆に葵との考え方の違いに恐怖もした。
よく理解されていない死後のことを考え、濃い濃密な人生を送れば、幸せになると決めつけている。本当に欲深い。だから私は葵の言葉にこう返した。
「強欲なんだね」
「そんなことないよ~、それより、今日の学校の授業で、清華寝てたけど、就職とか、進学とか大丈夫なの?」
葵は露骨に話を変えようとしてくる。しかも私が大嫌いな学校の話だ、学校というのは無理やり努力させてくる、私にとってはこの世で一番大嫌いで面倒くさい場所
「私なら大丈夫、教科書さえ見ていれば赤点は回避できるから」
「うわ!出たよ!天才様。いいな~教科書見てれば点数とれるなんて、あたしなんて頭悪いから、勉強しないと点数とれないのに!」
うむ、これは嘘である。なぜなら葵は勉強してもしなくてもいつも学年のトップ帯にいる。私なんかとは違う生粋の天才。それでももっと高い点数を取ろうなんて、本当に強欲だ。
「点数といえばさ、いっっつも学年一位の人のこと、清華は知ってる?今度見に行ってみない?」
「私は点数とか興味ないから、その人のことは興味もないし何も知らない」
「ええー、少しは学校のことについて興味持とうよ~」
「めんどくさい」
嫌いな場所に興味を持つなんて、私の人生論に反する
「あー。もう、本当に怠惰なんだから!」
「怠惰?なんで?」
「知らないの?清華学校でいっつも、寝てるのに点数はいいから、結構有名人なんだよ?それで、学校のひとから眠りの小〇郎もとい「眠りの東雲」とか「怠惰」とか呼ばれてるんだよ」
「ふーん。怠惰…ね」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
怠惰、確かに私の生きざまにふさわしい呼び名かもしれない
そんな適当なことを話しながら私たちは家路につく。
---
数日後
私は葵に話かけられていた
「ねぇねぇ、清華。前に言ってたさ学年1位の人のことを見に行ってみない」
おっと、デートのお誘いのようだが、私にはすでに心に決めた人がいるからな…うん
「いや、私はいいかな?心に決めた人がいるし」
「…何の話?とにかく見に行こーよー」
そう言われ私は腕をぎゅっとつかまれ、噂の学年1位のところへ行くことになった。
---
「ついたよ!ここが学年1位『夢山天』のいる教室だって!」
葵が教室に顔を覗かせてから無駄にバカでかい声で言う。そのせいで周りの生徒から注目を浴びてしまった、面倒くさい
「ちょっ!葵うるさい。まわりの人に見られてるじゃん!」
「あははー。ごめんごめん、そんなことより学年1位のこと見なくていいの?せっかく来たのに」
まぁ来てしまったなら仕方がない、一応一目見ておくか、もう二度と見ることはないと思うし。
「いやまぁ、来たんなら見るけど、ほんとに少し見たら戻るからね」
「うん!清華が見てくれるならそれでいいよ!」
そうして私はその教室のドアを開ける。
するとそこにいたのは、机の上でなにやら難しそうな本を読んでいる一人の男の子だった。そして、わたしが一番驚いたというか意外だったのが、勝手な予想でがり勉なのだろうな、と思っていたら、意外に爽やかなスポーツマン系男子だったことだ。
「ねぇ清華、1位君は元々サッカー部だったらしいよ。」
「なるほど、だから爽やかなのか」
私はサッカー部は爽やかという変な偏見を言う。
「葵、もう見たから帰ろう」
「そうだね、そろそろ授業も始まっちゃうしね」
そうして私たちは教室へと戻る
---
最後の授業が終わり私は、家に帰る準備をする。私は全校生徒の中で一番学校を出る時間が早いと自負している。
ちなみに葵は今日部活があるらしく、一緒には帰れないといくことだ。
別にそれはどうでもいいが、やはりいないとやけに静かに感じる。
そして私には今日大事な使命がある。それは…親に頼まれた買い出しだ。わざわざスーパーに行くのは面倒くさいが、親には一定の感謝はある。この怠惰な私にきちんと人並みの生活をさせてくれるからだ。なので、頼まれた事は大抵引き受けている。
今日買い出しを頼まれた物を確認する。確か4つあり、1つ目はじゃがいも、2つ目はにんじん、3つ目は玉ねぎ、最後は豚肉。これだけである料理を作るということは察せる。
そんなことを考えていると目の前から見知らぬいかにもTheチンピラという輩が2人やってきた、その2人は私の前にまるで、バスケットのシュートを防ぐかのように広がり立ち止まった。すると2人のうち左が話しかけてきた。
「よう。姉ちゃん、うちらとお茶でもしねぇか?」
案の定、定型文を言われていた。これは面倒くさいことになった!私はそう思いこうなった時の対処法を頭の中で瞬時に組み立てる。…でた組み立てた結果私は…
「おまわりさ〜ん!助けてくださ〜い」
そう葵のように馬鹿でかい声で助けを呼び、適当な方向に手を振る。
するとどうなると思う?
チンピラ2人組は一瞬そちらを向くしか無くなる。そうなったら私は全速力で逃げる。
侮るなよ!こう見えても私は学校でも全生徒2400人の内足の速さは、34番目に入る!フフ下から数えてだが、さあどうだ、15秒は走ったぞ!
そうして走りながら後ろを向く。
なッ!もう追いつかれているだとっ!さてはこいつら、陸上競技の国体選手か!?
「まてや、ガキィ舐めた真似してんじゃねえぞ」
どうする完全に追いつかれた、幸い学校の近くまでは逃げた。しかしここから私のなかで今世紀大きい声を出しても、学校には届かないだろう。
つまり、万事休す。仕方がない。
「あなたたち、いったい何が目的なんですか」
「そりゃあ決まってんだろ」
チンピラは下衆な笑い顔を浮かばせ、こちらに手を伸ばしてくる。
ああ、ダメだ
そう思ったとき
パシン
突然誰かに手を掴まれ、走りだす。
チンピラ2人は、「おい!てめぇ何すんだ!止まれ!」そう騒いでいた。あまりに突然な出来事で先程のように追いかけられてない。
「もっと速く走って!」
手を掴まんで来た男にそう言われた。
いや無理に決まってるだろ!!こちとら小学校6年生よりも遅いと言われてるんだ!
さっきから手ぇ引っ張られて足が壊れそうだわ!
端から見ると、ほぼ引き摺られてんだわ、私
だから
「無理!」
「いいから!」
「無理!」
そんなやり取りを繰り返していたらいつの間にかチンピラ達を撒いていたみたいだ。
「ここまでくれば、もう大丈夫だろ。」
「はぁはぁ、あり、、がとう、、ございます…」
何なんだこの男は、あんなに走ったのに行き一つ切らしていない。化け物だ、本当に化け物だ。
いやそんな事はいい、いいのだ。
問題なのは助けてくれた男が何処かで見たことがあるということだ、それもつい最近に…
やばい誰だ?確か…葵と一緒に居て、夢山天を見に行こうと……
あ、そうだ、この人が夢山天だ。
なぜこの爽やかイケメンを忘れていたのだろう。私はストレス無く楽に生きるために顔のいい男をみるという習慣のある面食いの私が!
まぁとりあえず助けてくれたのだし、丁寧にお礼の言葉は、言っておこう。
「助けてくれてありがとうございます。あなたのおかげで助かりました」
「うん、どういたしまして。でも大丈夫だった?七蜘蛛高校の生徒だよね?制服がうちのだったから」
「貴方が助けてくれたから、何もされずに済みました。」
「君が何もされて無くて良かったよ!」
この爽やかイケメン妙に馴れ馴れしいな。しかしここからどうしようか。このまま何もせずに去るのは気が引ける。少し面倒くさいがお礼をしたほうが良さそうだ。
「ええと…助けてもらったので、後日お礼がしたいです。良ければ連絡先を教えて貰えますか?」
「いいよ!これで連絡先を交換しよう」
そうして私達は連絡先を交換した。暗くなってきたということで解散し、スーパーで買い物をしてから家に帰った
---
後日私は、葵にまた話しかけられていた。
「清華、大丈夫だった?」
「うん、大丈夫だったよ。とある人に助けてもらってね」
「そうなんだ!良かったよ〜。助けてくれた人に感謝だね!」
「そうだね、それでさちょっと相談があるんだけど、いい?」
「もちろん!清華のためなら何でもやるよ!」
少し目がイッてしまっているが、ありがたい
「ありがとう。相談っていうのが、その助けてもらった人にお礼することになったんだけど、何処かいい場所って知ってる?」
「うーん…お礼する場所か〜…そうだ!」
「ゴク」
「そこは………【普通にファミレス】!」
「…ファミレス?」
「うん!やっぱ学生の味方ファミレスでしょ!」
「ありがとう。でも、なんで?」
「理由は2つある!ひとーつ他の飲食店に比べて安い!お礼するってことは奢るってことだよね?」
「奢る……そうだね。確かに奢るよ、うん」
「でしょ!」
「うん、ありがとう。それじゃあファミレスに行くことにするよ」
「うん!頑張ってね!」
私は何を??と思いながら約束の日までいつも通りに過ごすのであった。
勤勉な君と怠惰な私 怠惰 @taida2434
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