創作論好きの生まれた日

雨宮 徹

創作論好きの生まれた日

 2023年10月29日。それは、とあるユーザーがカクヨムに登録した日。その名は雨宮徹。彼はまだ、知らなかった。執筆よりも創作論の方が好きかもしれないことを。




 登録当日。その男はデビュー作を投稿した。当然、合計20PVほどである。だが、星はついた。これはデビュー作にしては好発進の方だと、後々気づく。



 10月31日。男は一つの創作論を投稿した。結果、翌日には週間ランキング上位に躍り出る。これは、初心者がいい意味で目立つきっかけだったに違いない。しかし、男は創作論を辞めた。なぜか。本業である執筆よりも伸びたためである。一日で100PVほど。PVの差に愕然とし、メンタルが壊れた。会社を早退する羽目になった。



 11月7日。男は頭が悪いので、創作論を封印したことを忘れる。二作目の創作論を投稿。なんともバカである。



 それからも、狂ったように創作論を投稿する。しかし、今思えば、それらの創作論は的を得ていなかったものが多い。


 

 男は本業である執筆をしつつも、創作論の投稿を辞めなかった。二足の草鞋を履くことを決めたのである。マルチタスクが苦手な者が無謀な選択をした瞬間だった。



 男はついに、あることに気づく。「創作論の方が得意だ」ということに。それは、分析が大好きだったからである。いわゆる、分析オタクが誕生した瞬間だった。



 男は思った。「創作論は過疎ジャンルである。適当に書いてランキング上位に入れば、名前が売れる」と。しかし、即座に方向転換をする。カクヨム初心者に寄り添った創作論を書くことにする。結果的に評価され、ランキング1位を獲得した。



 なぜ、方向転換したのか。それは男の性格にある。男はバカがつくほど正直で、嘘をつくのが苦手である。そして、困っている人がいたら、助けずにはいられない。つまり、単なるお人よしであったからだった。



 男はカクヨムコンテストまで2ヶ月もあるのに、分析した創作論を書く。爆発的に伸び、一週間連続1位を記録した。そして、勢いで創作論を書きまくる。



 9月26日。それは突然にやってきた。男はランキングアップの通知を寝ぼけながら見た。「順調に伸びている。これなら、初心者のためにもなるはずだ」と。しかし、それだけでは終わらなかった。週間ランキングトップ5を独占するという快挙を成し遂げる。そして、月間ランキングで1位を獲得する。男は狂喜乱舞した。実に単純である。



 そして、現在。男は創作論を書き続ける。手の内をライバルに明かすことになろうとも。

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創作論好きの生まれた日 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993

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