少年Sとロボット
クック
第1話 図書館
♦
だれか、歩いてくる
少年のようだ。カバンをしょっている
その子が歩いてるのは、図書館につうじる道
図書館のまわりは、いちめんグリーンだ
あっちこっち、花がさいている
図書館に入った少年は、キョロキョロしている
なにか、かれにちかづく
受付のロボだ
ドラム缶に似たカタチ
パネルがついている
『ナマエト、ナンバーヲオシエテクダサイ』
「ナマエはS。ナンバーは、☓−☓☓」
Pi Pi Pi Pi Pi …
ロボは、どこかに行ってしまった。すべるような動きで
すると、ちょっぴり明るくなった
Sくんは、天井を見る
フロアは、ドームがたをしている
通路が、いくつかあるようだ
ちいさい明かりのついた通路
カベに、なにか光っている。➡️マークだ
Sくんは、通路をすすむ
タナの、たくさん並ぶフロアについた
それぞれのタナに、パネルが光っている
子どもは、かぶっていたフードをとった
いくらか、クシャクシャになったアタマだ
かれのひとみに、パネルが映る
ナニか、探しているのかな?
ちょっとのあいだ、歩きまわっていたが、たちどまった
通路がある。さっきのとは別のだ
そのさきには、また図書室があった
デスクや、イスがある
そのあいだを、動いているのは、お掃除ロボだろう
タナとタナのあいだで、音がしている
カタリ コトリ――
少年、気づいているのかな?
♦♦
タナに、たくさんの本がならんでいる
Sくんは、そのあいだを歩く
なにかを目指しているようす
進んださきに、ダレか、たっている
子どもが、近づいていく
ダレかは、Sくんより、ずっと背がたかい
2本のアシ、2本のウデ
まるっこいアタマが一個
図書館のスタッフだろうか?
ツルツルのボディ。人形みたいな顔
タナの本を、とりだしたり、ならべかえたりしてる
スタッフはスタッフらしい
ただ、ロボットだ。ヒト型のロボット
「ねえ、そこのキミ。ねえってば・・・・・・」
気がついたロボが、ふりむく
『黄身は、たまごのなかにありマス。ここにはありマセン』
「???????」
くちをあけて、固まってしまった少年
うでをくんだ。そして、またくちをひらく
「それって、どういうイミ?キミって、キミだろ」
Sくんは、ロボを指さす
ロボは、いっしゅん、動きをとめる
『そうですね、キミは、ワタクシデス』
「そうさ。キミ、ボクをてつだってよ。本を探してんだ」
『おてつだいしマス』
「いままで読んでたのが、たいくつになってきちゃってさ」
『オヤマー・・・・・・』
「ンでさ、冒険するおはなしがいいんだ。怪物ぶちのめしたりして」
『#冒険 #怪物ぶちのめし――』
ロボは、歩きだした
カシャン カシャン カシャン
♦♦♦
『こちらでお待ちヲ』
テーブルとイスがある
Sくんは、テーブルにカバンをなげだした
カバンのふたがあく
なかから、アレヤコレヤころがりでた
ノート、ちびたえんぴつ、まっくろいけしごむ
円いマドがあった。グリーンの庭がみえる
木々がはえ、鳥の声がひびく
Sくんは、イスにすわった
テーブルのうえに、ランプがひとつ
どこからか、ドラム缶ロボがやってきた
スイスイと、ワゴンを引いてすべってく
ところが、フラフラしだして、コツンッとカベにぶつかった
ワゴンから、本が何冊かおっこちた
Sくんは、ロボのところまでいき、なおしてやった
Pi Pi Pi Pi Pi …
また、どこかへいってしまった
カシャン カシャン カシャン
いつのまにか、ロボットがテーブルのよこにいる
ウデに、数冊の本をかかえている
『コレはいかが?世界の昔ばなしデスヨ』
「そういうのは、いっぱい読んだ」
『こちらハ?大作デス』
「フン、むっかしそうだね」
『コレはいかが?怪物がでてきマス』
「へんちきりんな本だね。ソレ読んでみてくんない」
ロボットと少年は、イスにすわった
『オナマエハ?』
「ボク?Sだよ」
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