第81話

見世に行くと女将さんから声をかけられた。



「紅若、そういえばあなたの前借金、いくらか決めてなかったわ」



「そうですよね!お由美ちゃんから聞いて、あれ?私そんな話してなかったなって…ハハハ」



「あなたは自分からこの妓楼に来たんだし、いくら欲しい?」



「じゃあ百両で」



私が言うと女将さんが口許に笑みを浮かべて私を見た。



「じゃあ百両分稼いでもらうってことでいいのかい?」



「はい!」



「じゃあもろもろの必要品はあとで仁助に持っていかせるから」



女将さんはそう言うと私の肩あたりに手を添えた。



「励みなさい」



「はい」



これでもう後戻りはできない。





ここからは前に進むだけだ。


それにしても……




女将さんっていい香りするな~……

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