第67話

目が合った私はニコッとすると視線を外して外に目をやった。



1…2…3



「あそこの前髪を下げた、人形を抱いてる子がいいな」



ほらきた!!


初客ゲット!!



「お客様、お目が高い。あの子は今日初めてですの」



「それはついてる。芸者も呼んで賑やかに過ごしたいのだけど部屋はありますか?」



「はい。千さん、庭の見える大座敷にお通しして。それと芸者さんたちの手配ね」



「かしこまりました。どうぞこちらへ」




遣手のお千さんに指図すると女将さんは微笑みながら私に手招きした。



「良い誘いをかけたわね」



「いえ……」



「初めてのお客さんだから失礼のないように。これからも通ってもらえるかわあなた次第よ」

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