第49話
玄関に行くと大勢の女の子が集まっていて、その中心に広げられた風呂敷の上にいくつもの簪が並べられている。
「どうぞ。お手に取って見てください。今日は一つなら200文、二つなら300文にまけときます」
女の輪の中にいる一人の男がよくとおる爽やかな声を上げてディスカウントを口にすると女の子からわっと歓声が上がった。。
淡いブルーの半纏に細くて黒い股引姿で目鼻立ちがかっきりした、どこかワイルドな雰囲気のある男らしいイケメンという感じ。
歳は20代だろうけど、私は見たことのないタイプの男性だった。
これはみんな夢中になるのもわかるな……
お由美とイネがみんなの後ろからスペースを開けてもらい商品を見ながら竜さんという男と会話する。
普段の私なら二人のように話したいなって思うけど、今はやることあるしね。
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