第43話
「今のおまえは金で客と寝ている。それが特定の客としか寝なくなるだけだ。本質的には何も変わらない」
そんなことは言われなくてもわかってる。
だからってどうしようもない。
「与えられた自由は紛い物だ。自ら得た自由こそ価値があり、尊い」
「なんか先生みたい」
殺し屋のくせに邪羅威の言うことは至極真っ当に聞こえた。
「ここには何泊できる?」
「えっ……あ、ああ、好きなだけ。お金があれば」
「よし。しばらく泊まると言っておけ。俺は出かけてくる」
「えっ」
「外出は表から普通にできるんだろう?」
邪羅威は髪を上げ、眼鏡をかけながら聞いてきた。
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