第78話

「先にもどるか」



「だな」




俺はこの3人のなかではキョウジと一番気が合う。




キョウジの家は親父が早くに亡くなって母親は男をつくって出て行ってしまった。



キョウジが高校に合格した日だった。




家に帰ると母親はいなくてテーブルにけっこうな額の入った通帳が置かれていた。



キョウジはこれが母親からのプレゼントで夜には合格祝いをするために御馳走を買いに行っていると思ったらしい。




夜中になっても帰ってこないので母親の部屋に入ると置手紙があったという。




その日からキョウジは学校に行っていない。



馴染みの先輩の家にやっかいになり知り合った女の家に転がりこんだ。




そんな話を笑いながら俺にしたことを覚えている。

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