第3話 女

あたしは自分よりもかわいそうな立場の人間の上に立って仕事をしようと思った。

あたしよりもかわいそうな人生を送っている人たちを見るのは楽しい。

そこで、障害者雇用の農園の農場長に募集したのだ。

会社は人手が足りなかったから、簡単に面接に合格した。

知的障碍者が二名。精神障がい者が一名。

そのうちの精神障がい者の女が気に食わなかった。

なんでもうつ病なのだそうだが、家が金持ちでお茶の水女子大学を卒業しているエリート。

あー言えばこういうで、あたしを智的障碍者を虐待していると上の者に言いつけたりもした。

気に食わなかった。

ロッカーのカギはみんなの分あたしが持つことになっているからお昼休みにそっと更衣室に入って、セーターをカッターで破いた。

また上の者にいいつけるから、今度は水汲みを多くしてやって体がガタガタになるまで働かせた。

嫌味も一杯言ってやった。

そうすると次の日来なくなる。

ざまーみろだ。

出勤日数が足りないとこの会社は首になることになる。

あるとき、上の者との面談で、散々その女のある事ないこと悪いことを言ってやった。

しばらくすると、女は辞めていった。

せいせいした。

恵まれた女なんて地に落ちればいい。

これで、あたしの天国になる。

ところが、神様はそうはさせてくれなかった。

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